火星内部に大量の水? 隕石から判明

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【2012年6月26日 PHYS.ORG

地球に飛来した火星隕石の分析から、火星内部のマントルに豊富な水が存在する可能性を示す手がかりが見つかった。


ハッブルがとらえた火星

火星の内部にも水が? 画像はハッブル宇宙望遠鏡が撮影。クリックで拡大(提供:NASA)

今回の研究は、カーネギー研究所(当時)のFrancis McCubbinさんらが、火星内部を起源とする2つの隕石を分析したものだ。「シャーゴッタイト隕石」と呼ばれるもので、火星の地殻下のマントルが部分的に溶解し、地表付近で結晶化したものが250万年前に火星を飛び出し地球にたどり着いたと考えられている。このような隕石を調べることで、火星が経てきた地質学的なプロセスについて様々な情報が得られる。

「研究に使った2つの隕石は、全く異なるプロセスを経ています。形成時に混じりこんだいろいろな元素が含まれているものと、そうではないものです。また、含まれる微量元素も全く違います。にも関わらず、隕石中のアパタイト鉱物の水分量はほとんど同じでした。この結果は、火星の形成時期に水が取り込まれたこと、その後の分化の時期にも火星の内部に水が保たれていた可能性を示唆しています」(McCubbin氏)。

分析を行ったErik Hauri氏らは、「二次イオン質量分析法」という新手法で含水率を測定した。その結果から、隕石のふるさとである火星のマントルには70〜300ppm(1ppm=100万分の1)の水が含まれていると見積もられた(地球の上部マントルは50〜300ppm)。この結果は火星の地質学史に関する理解に大きく影響するのはもちろん、火星の水がどのように地表へとやってきたかということにも関係してくる。

「かつて火星の地表に液体の水があったことを示す強力な証拠は以前から見つかっています。にも関わらず火星内部の水分量の推定はとても低いのが謎でした。今回の研究結果はとても合理的な結果であり、水が地表に運ばれる主要なプロセスが火山噴火だったということを示唆するものです。また、火星がどのように水を得たかというだけでなく、火星や地球のような岩石惑星が形成中に水分を貯蔵する仕組みも説明できます」(McCubbin氏)。

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