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金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

星をみつめて 京大花山天文台から

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星をみつめて 京大花山天文台から

  • 花山宇宙文化財団 著
  • 京都新聞出版センター
  • 236ページ
  • 定価 1870円

生まれも育ちもそして現住所も東京の評者が、京都で出版された本書を関西まで買いに行くことは不可能なため、本書評が少々遅くなって申し訳ありません。でも、本書は絶対に面白い! 国立天文台と東西で競い合う日本の天文台の競争史だ。評者が知っている方としては山本一清氏が最も昔の方、次に藤波重次氏、中村要氏、荒木俊馬氏、林忠四郎氏等々そうそうたる方々が本書に登場する。全く日本の正統的天文学史を眺めているみたいだ。

この京都学派には、読者の皆さんもよくご存じのノーベル賞の湯川秀樹氏や第一次南極越冬隊長の西堀栄三郎氏も登場するが、なんと言ってもその祖先たる藤原定家、安倍晴明、渋川春海、国友藤兵衛など有名人ばかりだ。関東の天文学なんて、江戸幕府に招かれた渋川春海などによって築かれた亜流! などと言ったら、東大の先生から叱られる!

ともかく、評者が本書で初めて知ったことや学んだことはメチャクチャ沢山ある。おおかみ座、おうし座、カシオペヤ座の各超新星は、変光星屋の評者にとっては金科玉条のこと。定家さん、サンキュー。太陽黒点のことは八咫烏と呼ばれたが、それが日本サッカー協会のシンボルマークになったのは何故だろう。本書にもカバー写真が出ている荒木俊馬先生の「大宇宙の旅」は、評者の天文学との出会いの書である。アトランティック・オーシャン(大西洋)が、うしかい座の巨人アトラスから来ていることも、本書で初めて知った。

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