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Book Reviewこだわり天文書評

金井三男さんのWebオリジナルレビューと「星ナビ」月刊ほんナビを掲載しています(不定期更新)。▼天文・宇宙関連書の最新刊リストも掲載。

ピックアップ はやぶさブラックホール

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金井三男のこだわり天文書評 第百八十回(5/22)

■夜空の手帳■宇宙ベンチャーの時代■アストロラーベ

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星ナビ「月刊ほんナビ」(原智子さん他) 星ナビ2023年5月号(5/22)

■星空の教科書■星座を探しに行こう■星空の図鑑■季節をめぐる 星座のものがたり■石垣島で星を観る

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金井三男さん 金井 三男(かない みつお)

1974〜1989年に東京・渋谷にあった五島プラネタリウムで解説員として活躍の後、(株)東急コミュニティーにて後輩の指導・育成に携わる。現在は首都圏10か所のカルチャーセンターで毎月講演会を行っている。月刊「星ナビ」で、独自の視点から天文や宇宙を追究する「金井三男のこだわり天文夜話」を連載中。

新着レビュー

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

表紙
今夜星がみたくなる 夜空の手帳

今夜星がみたくなる 夜空の手帳

  • 渡部潤一 監修、関岡大晃 写真、星の観察館「満天星」 写真
  • 東京書籍
  • 240ページ
  • 2023年4月

本書は宝石のような一冊。撮影者の関岡大晃さんにお会いしたことはないが、評者の2.5分の1に満たない20代後半の若い星景写真家で、SNSで活躍中だそうだ。若い人は何時何処にでも行けていいですね。本書冒頭を飾るウィンター・ヘキサゴン(冬の大六角)などは、まずもって、ホレボレとしてしまう。それに続く、銀河の手前を走る夜汽車の写真などは、ロマンですね。数枚の天の川を撮影した写真を見比べても、こうも異なる季節変化があるものかと、大いに感心してしまう。

導入部の「夜空の基本」には、恒星や惑星の相違、星の色や明るさの相違などなど、基本のキが説明されており、様々なこだわりの出発点が説明されている。その後、春夏秋冬の季節の星座が述べられ、最終章に至って太陽系の天体が説明されている。こだわり天文学者にこだわっている評者は、八重山地方にある珊瑚石灰岩で造られた立石状の星見石や方位石状の星見石を、ぜひ見学してみたい。民俗学的だけでなく、科学史的にもおもしろいはずだからだ。星や月が家紋のモチーフになった例からして、その一例である。五芒星が一般的になったのは、西欧でも19世紀からであることを評者は指摘しておく。

近年の科学史の見方では、天文学は最も古くから存在する科学だと言われるようになった。評者がその見解を確信するようになった一因が、本書掲載の写真一枚一枚にある。

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表紙
宇宙ベンチャーの時代 経営の視点で読む宇宙開発

宇宙ベンチャーの時代 経営の視点で読む宇宙開発

  • 小松伸多佳 著、後藤大亮 著
  • 光文社
  • 328ページ
  • 2023年3月

JAXAやNASA、ESAなど国家的事業体が主役だった時代から、2021年では民間主導型の宇宙開発に変化し、同年は遂に「民間宇宙ベンチャー元年」と称せられるようになった。そして、本書が出版された現在、アポロ計画などの記事はこれっぽっちも読むことができなくなり、最早歴史文書と化した。

思い出すのは、評者が私立中学の教師になって、林間学校の引率教師として望遠鏡をバスに乗せて尾瀬に行ったときのこと。その7月21日に宿舎から望遠鏡で生徒達に月を見せ、生徒達が感極まっているそばで「そこに人がいるんだよ」と叫んだ記憶がある。人類として最高の思い出となったが、今やそれは当たり前。この次は火星ですね!

いや、その前に宇宙から見る地球とか、宇宙から見る宇宙など、数々の視点の相違が登場するはずだ。人が高山から地面を、海底から海面を見たりする以上に、宇宙→宇宙は、これ以上のものがないから感動するだろう。天国や地獄の存在が疑問視されるに至った現在、宇宙は最もスリリングでアドベンチャーで冒険的な対象物である。

そんな宇宙を仕事にできるようになったのは、いかにも現代的なこと。21世紀や22世紀の終わりは、一体どんな時代になるのだろう。そんな、昔ならば空想やSFとしか言えなかったことが、本書では当たり前のことになっているのです。

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表紙
アストロラーベ 光り輝く中世科学の結実

アストロラーベ 光り輝く中世科学の結実

  • セブ・フォーク 著、松浦俊輔 訳
  • 柏書房
  • 468ページ
  • 2023年3月

2週に1回、あるカルチャーセンターでの講義に行く関係で寄らせてもらっている書店で、見つけた途端購入していたのが本書。評者は今から60年近く前に大学に入学したが、その時研究室で見たのがアストロラーベ(模型)と六分儀と八分儀(いずれも実物)だった。そのうち後者2種は実習でも使い、天体の高度と方位から緯度経度を実測したが、アストロラーベは「ふーん、こんなものなんだ」と感じた程度のものだった。それが近代科学の発祥に繋がるものだったなんて、思いも寄らなかった!

アストロラーベが発明されたのは前150年ごろだとか、紀元2世紀ごろの著名な天文学者プトレマイオスやヒッパルコス、はたまた8世紀のイスラム人ファザーリだろうとか、様々に言われている。いずれにしても、1380年代のイギリスの詩人チョーサー(最初の文人)は著書『アストロラーベ解説』で、社会的秩序のために自らの正しい位置を知ることが可能であることが道徳的に必要だと、アストロラーベを評価したという。評者は、それが後世、自然科学が世の中に必要なことになった最大の理由だと考えている。人類が自然の中でその立ち位置(航海だけでなく)や存在意義を知る上で、天文学が必要になった最大の理由であるとも言えるのだ。読者の皆さん、アストロラーベを是非知ってください。

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新刊情報

5月22日掲載

大人のための図鑑 新版 地球・生命の大進化 46億年の物語

  • 田近英一 監修
  • 新星出版社

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アンドロメダ銀河かんたん映像化マニュアル

  • JUNZO 著
  • 日本実業出版社

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ニュートン別冊 最新 宇宙大事典250

  • ニュートンプレス

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やさしくわかる! 文系のための 東大の先生が教える 銀河宇宙

  • 田村元秀 監修
  • ニュートンプレス

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光学機器大全

  • 吉田正太郎 著
  • 誠文堂新光社

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宇宙望遠鏡と驚異の大宇宙

  • 鈴木喜生 著、縣秀彦 監修
  • 朝日新聞出版

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宇宙法の形成

  • 中村仁威 著
  • 信山社

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物理のためのデータサイエンス入門

  • 植村誠 著
  • 講談社

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ワンルームから宇宙をのぞく

  • 久保勇貴 著
  • 太田出版

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4月20日掲載

この世で一番わかりやすい 宇宙Q&A 人類が知りたくて知りたくてたまらない疑問ベスト20

  • ジョージ・チャム 著、ダニエル・ホワイトソン 著、水谷淳 訳
  • ダイヤモンド社

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ビジュアル天文学史 古代から現代まで101の発明発見と挑戦

  • 縣秀彦 著、岡村定矩 監修
  • 緑書房

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#趣味で作る人工衛星

  • リーマンサット・プロジェクト 著
  • オーム社

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日本人宇宙飛行士

  • 稲泉連 著
  • 筑摩書房

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やさしくわかる! 文系のための 東大の先生が教える 素粒子

  • 佐々木真人 監修
  • ニュートンプレス

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元素で読み解く生命史

  • 山岸明彦 著
  • 集英社インターナショナル

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世にも不思議で美しい 「相対性理論」入門

  • 佐藤勝彦 著
  • PHP研究所

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ジブン未来図鑑 職場体験完全ガイド+ 宇宙が好き!

  • ポプラ社

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アストロラーベ 光り輝く中世科学の結実

  • セブ・フォーク 著、松浦俊輔 訳
  • 柏書房

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そろそろタイムマシンで未来へ行けますか?

  • 齊田興哉 著
  • 飛鳥新社

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アリストテレスの哲学

  • 中畑正志 著
  • 岩波書店

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宇宙思考

  • 天文物理学者BossB 著
  • かんき出版

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物質は何からできているのか アップルパイのレシピから素粒子を考えてみた

  • ハリー・クリフ 著、熊谷玲美 訳
  • 柏書房

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図解 科学12の大理論

  • 矢沢サイエンスオフィス 編
  • ワン・パブリッシング

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3月20日掲載

広大すぎる宇宙の謎を解き明かす 14歳からの宇宙物理学

  • 武田紘樹 著
  • KADOKAWA

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プレミア保存版シリーズ 銀河のすべて

  • ニュートンプレス

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宇宙ベンチャーの時代 経営の視点で読む宇宙開発

  • 小松伸多佳 著、後藤大亮 著
  • 光文社

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JAXA×かいけつゾロリ 宇宙をめざせ!科学実験大図鑑

  • 原ゆたか 企画・原案、JAXA宇宙教育センター 著
  • ポプラ社

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シリーズ 宇宙物理学の基礎 宇宙電磁流体力学の基礎

  • 柴田一成 著、横山央明 著、工藤哲洋 著
  • 日本評論社

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学校では教えてくれない大切なこと 宇宙ってどんなところ?

  • 旺文社 編
  • 旺文社

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あなたの超小型衛星を作ってみませんか? 設計・製作から運用まで

  • 久野治義 著、長谷部信行 著
  • 恒星社厚生閣

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ビジュアル大事典

  • DK社 著・編
  • 新星出版社

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文系のための 東大の先生が教える 宇宙の終わり

  • 横山順一 監修
  • ニュートンプレス

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天文宇宙検定公式テキスト 2級 銀河博士 2023-2024年

  • 天文宇宙検定委員会 編
  • 恒星社厚生閣

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天文宇宙検定公式テキスト 3級 星空博士 2023-2024年

  • 天文宇宙検定委員会 編
  • 恒星社厚生閣

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天文宇宙検定公式テキスト 4級 星博士ジュニア 2023-2024年

  • 天文宇宙検定委員会 編
  • 恒星社厚生閣

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おはなしサイエンス 宇宙の未来 パパが宇宙へ行くなんて!

  • 松素めぐり 著、木村いこ 著、稲波紀明 著
  • 講談社

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衛星通信年報 令和4年版

  • 衛星通信年報編集委員会 著
  • KDDI財団

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はじめての宇宙旅行ガイド 月・火星を訪ねる旅行

  • 寺薗淳也 監修
  • フレーベル館

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世界でいちばんやさしい 教養の教科書 自然科学の教養

  • 児玉克順 著、fancomi イラスト
  • Gakken

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岩波科学ライブラリー 宇宙の化学 プリズムで読み解く物質進化

  • 羽馬哲也 著
  • 岩波書店

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親子で楽しむ 星空の教科書

  • 渡部潤一 著、渡部好恵 著
  • 講談社

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歴史のなかの天文 星と暦のエピソード

  • 斉藤国治 著
  • 雄山閣

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科学の先駆者たち 3 星の謎に挑んだ人々

  • Gakken

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