打ち上げから2年、探査機LROのデータで見る月面

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【2011年6月23日 NASA (1)(2)(3)

NASAの月周回探査機「ルナー・リコナサンス・オービター」(LRO)のデータをもとに作成された動画が公開された。月の動きによりできる影が、これまでになく詳細にシミュレーションされている。2009年6月に打ち上げられたLROは、目標のフルミッション段階を完了した。


LROの高度データを反映してシミュレーションした月面

LROの高度データを反映して月の秤動のシミュレーションを行った。1ヶ月を12秒に縮めた動画(1年分で約2分半)を下記〈参照〉リンクから見ることができる(提供:NASA/Goddard Space Flight Center Scientific Visualization Studio)

2005年の月の高度マップ(左)と、2010年のもの(右)

LROの観測データにより、2005年の月の高度マップ(左)に比べて2010年のもの(右)が詳細化していることがわかる。全球データの動画は下記〈参照〉リンク先へ。クリックで拡大(提供:NASA's Goddard Space Flight Center's Science Visualization Studio/ Massachusetts Institute of Technology)

月は常に同じ面を地球に向けながら公転しているが、その軌道は、地球の赤道面からやや傾斜していた楕円形であるため、地球から見ると1ヶ月サイクルで揺れ動いている。

「秤動(ひょうどう)」と呼ばれるこの動きを再現したのが公開された動画だ(画像1枚目。動画は下記〈参照〉リンクへ)。月探査機「ルナー・リコナサンス・オービター」(LRO)のレーザー高度計によるクレーター等の凹凸地形を精密に反映しているため(画像2枚目)、影の部分がこれまでになく忠実にシミュレーションされている。

LROの7つの観測機器がこれまでに取得した画像や地形データは192テラバイト(DVD約4万枚分)にもおよぶ。そのデータをもとに、詳細な月全球マップや、570万km2(日本の面積の約15倍)もの広域の地表を約0.5mという高解像度でとらえた地形マップが作成された。

また、極域のクレーターで絶対温度25K(摂氏-248度)という極低温の永久影ポイントを発見するなど(2009/9/29「LRO、月の永久影の温度を明らかに」参照)クレーター深部の観測や、水が豊富な場所や資源となる水素の捜索、将来の有人探査のための月の放射線環境の調査など、数々の貴重な観測を行ってきた。LROが取得したデータは、NASAの「惑星データシステム」サイトで公開されている。

6月21日、NASAはLROの目標予定ミッションが全て成功のうちに完了したことを発表した。観測運用は引き続き行われる。


ステラナビゲータで月の秤動を再現

天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」では、以下の手順で「月の秤動」を再現することができます。

  1. 表示を赤道座標形式にする:
    メニュー「表示」→「表示形式」→「赤道座標」を選択
  2. 月を画面に表示:
    「検索ボックス」に「月」と入力→「天体を中央」をクリック
    (※月の表示がオフになっていると表示されません。その場合、リボンバーの「太陽・月」から表示オンにしてください)
  3. 月が画面上を移動しないよう、画面中央に固定:
    月の上で右クリック→「中央固定」を選択
  4. 時間を動かして秤動を再現:
    設定日時が表示されている「ステラパッド」で、日付をクリックして進める