NASA、2つの月探査機を打ち上げ

【2009年6月19日 NASA

NASAは、月探査機ルナー・リコナサンス・オービタ(LRO)およびエルクロス(LCROSS)を載せたアトラスVロケットを、米国東部夏時間6月18日に打ち上げた。LROは将来の有人探査に必要な情報を集める周回機。LCROSSは月面に衝突して地下に眠る物質を探る。


(月探査機ルナー・リコナサンス・オービター(LRO)とエルクロス(LCROSS)を搭載したアトラスVロケットの打ち上げのようす)

LROLCROSSを搭載したアトラスVロケットの打ち上げのようす(提供:NASA TV)

(月探査機ルナー・リコナサンス・オービター(LRO)の想像図)

月探査機LROの想像図(提供:NASA)

(衛星エルクロスと月面に突入するロケットの想像図)

LCROSSから切り離されて月面に突入する衝突帯の想像図(提供:NASA)

NASAは、ルナー・リコナサンス・オービタ(LRO)とエルクロス(LCROSS)のアトラスロケットによる同時打ち上げを当初の予定より1日遅い米国東部夏時間18日午後5時32分(日本時間19日午前6時32分)に実施した。両探査機は45分後に切り離され、異なる軌道で月を目指している。

LROは4日間で月周回軌道に到達したあと、2か月以上かけて高度50kmの極軌道(月の北極と南極を通り、自転に伴って全球を観測できる)に入る。

極軌道投入後は1年以上にわたり、7種類の観測機器を使って、将来の有人探査で必要となる情報を収集する。とくに表面の地形および資源の探査は、それぞれ着陸地点の候補および水の氷の発見につながる重要な任務だ。

一方、LCROSSは地球のまわりを大きく周回する軌道を経て、10月8日10時30分(世界時)に月面衝突観測を実施する。これはLCROSSの先端に取り付けられた重量2トンの衝突体が秒速約25kmで衝突し、噴出物を本体が調べるというもの。衝突予定地点は永久影のあるクレーターで、氷の水が検出されると期待されている。なお、本体も衝突体に続いて約4分後に月面へ衝突する。

衝突そのものはクレーターの壁に阻まれて地球から見ることはできないが、巻き上がるちりや噴出物は衝突から数秒間見える可能性があり、地上の望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡も観測を予定している。