超新星2006chを山形の板垣さんが発見

【2006年5月15日 VSOLJニュース(154) / 国立天文台 アストロ・トピックス(212)

(VSOLJニュース)

(著者:山岡均さん(九大理))

超新星はひとつの銀河あたり、数十年に1個の割合で出現すると考えられています。ただし、その割合は銀河の種類、特に星が多くできているかどうかによって大きく変わります。腕の開いた渦巻銀河のように、星を活発に形成しているような銀河では、短寿命の重い星が爆発する超新星の数が多くなります。ペガスス座の銀河NGC 7753は、腕が開きぎみの渦巻銀河のひとつです。

今年の1月に超新星2006Aが出現したこの銀河で、今年2個目の超新星が発見されました。発見者は山形県山形市にお住いの板垣公一(いたがきこういち)さんで、これが板垣さん自身今年2個目の超新星発見になります。

超新星は、5月9.765日(世界時、以下同様)撮影の画像で、16.5等の明るさで発見されました。板垣さんの観測では、11.764日に16.6等、14.752日に16.8等と、次第に暗くなっているもようです。超新星の位置は、以下のとおりです。

  赤経   23時47分06.12秒
  赤緯  +29度28分50.6 秒 (2000年分点)
  超新星2006ch周辺の星図

母銀河であるNGC 7753渦巻銀河の中心から東に17秒角、南に10秒角にあたります。http://www.rochesterastronomy.org/sn2006/n7753s5.jpg に発見画像が置かれています。

1月にはこの銀河は夕空低く、超新星2006Aは発見後に分光観測されることなく暗くなってしまいました。今回も、まだ明け方の空低く、分光観測は難しいところですが、今後の追跡観測が望まれます。

(国立天文台アストロ・トピックス)

山形県山形市にお住いの板垣公一(いたがきこういち)さんは、口径60センチメートルの反射式望遠鏡にCCDを据えつけて撮った、ペガスス座の銀河、NGC 7753の画像の中に 16.5等星の超新星を発見しました。この発見は兵庫県の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告され、この超新星は「2006ch」と命名されました。

超新星の発見時刻は5月9.765日(世界時、以下同様)、明るさは16.5等でした。また、板垣さんご自身が、この銀河を昨年8月30日と11月10日に観測していましたが、そのときにはこの位置にはなにも星が見えていませんでした。さらに超新星発見後の観測では、徐々に減光(5月11.764日、16.6等、5月14.752日、16.8等)しています。

この天体は NGC 7753 の中心位置から、東に約17秒角、南に約10秒角ほど離れたところにあります。また、今回板垣さんが発見した超新星は、今年最初に発見された超新星、「2006A」の位置と非常に近いところで出現しました(IAUC 8656)。

板垣さんは昨年8月、うしかい座に(国立天文台アストロ・トピックス 135)、今年の4月にはおおぐ座に超新星を発見(同 202)しており、今回はそれに続く快挙です。これでご自身の発見(独立発見を含む)は通算18個目となります。

ちなみに日本人による今年に入ってからの超新星の発見数は、2月にかみのけ座に超新星を発見した鈴木章司(すずきしょうじ)さん(アストロ・トピックス 183)に続き、板垣さんの4月の発見と合せて計3個目となります。


超新星2006chの位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ Ver.7」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行なってください。

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