掛川市の西村栄男さん、さそり座に新星を独立発見

【2005年7月27日 VSOLJニュース(124) / 国立天文台 アストロ・トピックス(124)

(VSOLJニュース)

(著者:山岡均さん(九大理))

さそり座に8.6等級の新星が発見されました。南米チリのラス・カンパナスに置かれたASAS(全天自動サーベイ)が25.284日(世界時、以下同様)に撮影した画像で発見され、翌26日には、静岡県掛川市にお住いの西村栄男(にしむらひでお)さんによって独立に発見されています。これまでに報告されている光度は、以下の通りです。

日付(日UT)  明るさ      観測者
20          11等以下(p) 西村
21.524    11.2等以下(C) 高尾明(北九州市)
23.287      14等以下(V) ASAS
25.284       9.11(V)    ASAS
25.625       9.8(C)     高尾
26.296       8.98(V)    ASAS
26.311       8.98(V)    ASAS
26.565       8.7(p)     西村
26.573       9.8(C)     高尾
26.596       8.6(C)     美星スペースガードセンター(岡山県井原市)

美星スペースガードセンターの橋本就安さん、浦田武さんによって測定された
新星の位置は、

赤経  17時44分21.59秒
赤緯 -34度16分35.7秒 (2000年分点)
新星周辺の星図

さそり座の尾のあたりになります。この位置には以前には17等より明るい天体はなく、増光幅から見て新星の可能性が高いものと思われます。今後の分光と光度の追跡が望まれます。

(国立天文台 アストロ・トピックス)

静岡県掛川市にお住いの西村栄男(にしむらひでお)さんは、日本時間26日深夜、さそり座に8.7等級の新星を独立発見しました。この発見は兵庫県の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連合に報告されました。

南米チリのラス・カンパナス天文台に設置かれているASAS(全天自動サーベイ)が25.284日(世界時、以下同様)に撮影した画像から、さそり座に9.11等級の新星が発見され、その後、西村さんにより独立発見されました。さそり座新星(NOVA SCORPII 2005)と命名されました。

西村さんは新天体発見のベテランで、今年に入って、2月にはくちょう座に「はくちょう座新星(V2361 Cyg = Nova Cyg 2005)」(国立天文台 アストロトピックス(83))を、3月に「いて座新星(Nova Sgr 2005 = Sgr V5115)」を発見(同(90))を発見しています。また、2004年3月の「いて座新星」(国立天文台 天文ニュース(705))、2003年8月にたて座に「新星状天体(同(668))」を発見しています。1994年7月の中村・西村・マックホルツ彗星(C/1994 N1)の発見者でもあります。