Location:

Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

ホーキング、未来を語る

表紙写真

  • スティーヴン・ホーキング 著/佐藤 勝彦 訳
  • ソフトバンククリエイティブ
  • A6判、416ページ
  • ISBN 978-4-7973-3634-4
  • 価格 788円

この本で一番素晴らしい文章は、「もし私(ホーキング)と同じく実証主義者の立場を取るならば、時間とは本当は何なのかいうことができなくなります。できることは、時間についての適切な数学的モデルとして見つけられたことを説明し、それらが予測することを述べるだけです」であると評者は考える。理論が観測に矛盾するとき、理論は捨て去られるべきであることを受けての文章。虚時間やインフレーションなど、世の中では理論が観測より先行しているといった誤った通念を、ホーキングさんが叩き潰してくれたのである。評者は、学生時代、実験物理学者を理論物理学者が見下す態度を嫌というほど見てきた。天文の世界では、観測が理論を常に先導してきたので、評者はそのころからわが身の幸せを祝してきたのだ。理論物理学者として誰もが認めるホーキングさんが言ってくれたことが嬉しい。

1989年に早川書房より出版されたホーキングさん最初の著書「ホーキング、宇宙を語る」は、評者も真っ先に買ったほどのベストセラーだ。ホーキングさんは絶対に二番煎じを書かず、本書は佐藤先生もおっしゃるようにまったく新しいスタイルの本である。それは図版などの書きかたばかりでなく、内容までもだ。最初の本では物理専攻の人でさえも苦しんだというが、挫折した方でもこの本はよくわかりますよ。評者もそうだった。汽車と鉄道を利用した独創的な図版ばかりの相対論的時空間論…クルミ殻宇宙…マリリン・モンローがホーキングさんの膝上に…すばらしきブレーン新世界…どれもこれも夜も眠れなくなるほどおもしろく、図版もすばらしい!

なのに、この価格!

この本を購入する [Amazon.co.jp]