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星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

アルマ望遠鏡が見た宇宙

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アルマ望遠鏡が見た宇宙
 

  • 平松正顕・渡部潤一 監修
  • 宝島社
  • 15×21.1cm、143ページ
  • ISBN 978-4796698986
  • 価格 1,512円

タイトルの通り、アルマ望遠鏡の紹介書であり、その写真集と言って良い。だが評者にとっては、天文研究者ばかりでなく、エンジニアのみなさんも参加したアルマ研究チームの記念文集であることの方が重要だ。アンデスの高山ゆえの苦労話などは、かねてより天文学者の寿命を調査している評者に格好のデータを提供してくれた。

それまでの世紀、伸び続けてきた19世紀の天文関係者の平均寿命73歳に対して、20世紀は69歳になぜか縮んでしまった(多分戦争が関わっていると見ている)のだが、今世紀は間違いなく、再び伸びるだろうと期待しているのだ。なぜかというと、これまでの世紀に較べて、天文学者は必ず高山に登る体力が必要とされるからだ。

電波望遠鏡なので、一基の分解能は大したことはなくても、多基使用の干渉計では驚異的な視力6000を誇り、すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡(HST)の10倍となった。このため、本書でもご覧いただける驚異的詳細画像を前にすれば、みなさんはきっと「今生きていて良かった!」と思うに違いない。だって、3億km先の小惑星ジュノーの自転や、赤色超巨星ミラを取り巻く星雲なんて、これまでにご覧になったことあります?

ともかく、本書はエポック・メーキングな本。あまり原理的なことを知ることがなかった電波望遠鏡のメカニズムなども学ぶことが出来る。新しい世界観の形成に本書をどうぞ。

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