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金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

古代文明に刻まれた宇宙 天文考古学への招待

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古代文明に刻まれた宇宙 天文考古学への招待
 

  • ジューリオ・マリ 著、上田晴彦 訳
  • 青土社
  • 18.6×13.2cm、340ページ
  • ISBN 978-4791769865
  • 価格 3024円

アーケオアストロノミーやパレオアストロノミー、日本語では天文考古学・考古天文学・古天文学と呼ばれる、天文計算に基づく新しい天文学で、決して古い天文学ではない、画期的な教科書。本書副題にある“招待”から入門書と誤解なさってはならない。著者前書きによれば、ミラノ工科大学建築学部天文考古学コースでの教科書で、付録に演習問題が付いている本格的なもの。高度な内容ですよ。宇宙論などがご専門の訳者も、秋田大学教育文化学部で講義を行っておられるが、その教科書として訳されたもの。

評者はステラナビゲータの助けを借り、本書104ページに記されたマルタ島(東経14度、北緯36度)で前3500年3月1日0時の真南高度20度付近で、サザンクロスの南北軸が真南を指すという事実を確認した。本書によれば、当時の人々が神殿を建てる際に、こうして真南を知ったのだと言う! また、女神様を祀った神殿建設においては、上から見ると女体に見えるその腰部(平たく言えば膣の出口)方向が冬至頃の日出方向を指すという、何ともなまめかしいことも本書で知った。その他ピラミッドとりゅう座α、マヤと金星、アレクサンドリアとレグルスなども面白い。若干不審なのは226ページにアクエンアテン王が遷都の理由とした皆既日食がテーベで1388年5月14日に見えたと書かれているが、ステラナビゲータでは同日に日食そのものが起こっていない?

(※アストロアーツ注:アクエンアテン王の在位期間等から考えると「前1338年」5月14日の日食のことと思われます。)

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