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金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

科学の社会史 ルネサンスから20世紀まで

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科学の社会史 ルネサンスから20世紀まで
 

  • 古川安 著
  • 筑摩書房
  • 15×10.6cm、383ページ
  • ISBN 978-4480098832
  • 価格 1404円

本書は科学全般の学術書であり、天文学や宇宙論に特化された書籍ではない。その意味で、本欄の愛読者だけに向けられた本でもない。しかしながら、あのガリレオがヤマネコ学会の会員だったように、あるいはニュートンがロンドン王立協会の会長だったように、あるいは「フランスのニュートン」と言われ、天体力学の大成者の一人となったラプラスもいるように、多くの天文関係者が関わった科学の歴史を、私たちが知らないというのは、本末転倒も甚だしいことである。従って、本書はぜひ皆さんに正面から心を決めて読んで欲しい本である。なにしろ、今から30年以上前に初版が刊行され、一度増訂を経て1万部以上売れた本だからである。昨年(2018年)10月に文庫本化された。

本書は、ご購入後直ちに巻末の注からご覧いただきたい。すると、著者がいかに博学であるかが判るはずだ。なにしろ文献数がもの凄い。そしてそのポイントも、もの凄い。これだけのものがポンと出てくるのだから、メモ数ももの凄かっただろう。そして、貴重な図版の数ももの凄い。そこらの本には出てこないものばかり。科学史学者の見本といえる。ならば、評者より遙かに年長の方かと思ったら、ベビーブームの方で2歳年下だった。アメリカの大学の博士課程を卒業されており、単なる教育学士の評者とはデキが違う。後書きにある五年前のSTAP細胞事件についてのご意見は、まったくその通りだ。ぜひご購読を!

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