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星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

アインシュタインの影 ブラックホール撮影成功までの記録

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アインシュタインの影 ブラックホール撮影成功までの記録
 

  • セス・フレッチャー 著、沢田博 訳、渡部潤一 監修
  • 三省堂
  • 319ページ
  • 978-4385360997
  • 定価 2200円

評者は現在進行形でAbbreviation(略語)を収集し、今年6月現在、2200個を数え増加中。その中で、EHT、SMA、JCMT、CARMA、SMT、LMT、APEX、ALMA、SPT、PDBI、IRAM。どうです、全部ご存じですか? 100点満点のヒトは、多分0でしょう。それが本書に全て書かれている。それも地球の半面に分布している世界的大電波望遠鏡群。

どういうことかというと、地球の直径分に相当する口径の電波干渉計。だからこそヒト呼んでイベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)なのだ。本書は、その全貌が判る最新の天文学書である! それをもってしか銀河中心に実在するブラックホールについて理解することはできないということを、本書では如実に理解することができる。ありがたいこと、この上ない。渡部先生の解説も、一読の価値がある。そもそも本書副題にある「影」とは、ブラックホールの事なのだ。従って評者は、これまで半世紀以上、影を追い求め追い続けてきたことになる。それが、誠に嬉しいことに、本書によって全貌を知ることができたのだ。

評者がブラックホールという用語を初めて知ったのは、大学生時代すなわち1960年代のことで、そもそも20世紀以前にはその概念すらなかった。20世紀初頭にあのアインシュタインが相対性理論を確立してから全てが始まった。古稀を数年超えた現在、その実体がやっと目の前に迎えられたわけ。あぁ地獄が目前だ。ぜひ皆さんも熟読されたし!

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