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金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

なぜ宇宙は存在するのか はじめての現代宇宙論

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なぜ宇宙は存在するのか はじめての現代宇宙論

  • 野村泰紀 著
  • 講談社
  • 264ページ
  • 定価 1100円

評者のライフワークであるアルゴルやアルマーズ、ベテルギウスの測光を通して、いつも考えていることがタイトルになった本。その意味では、世界で一番頻繁に悩んでいるのが評者に間違いなし。ビッグバンによって宇宙が変化・膨張し、銀河が創られ、恒星が生まれ、やがて死に、銀河も合体消滅し、宇宙は…という具合に、この世界は変貌しているのだ。天国も極楽も地獄もいずれも、この世(ユニバース)には存在しない。神父さんや牧師さん、お坊さんに怒られる思想を評者は現在持っている。一応評者や家族が入るお墓は確保しているが、葬儀の形式は多分市民葬になるだろう。

ともかく、本書タイトルは少なくとも評者にとっては、とっても重要な話なのだ。原始の揺らぎで評者の頭も揺らぎ、重力波で体が揺らぎ、ダークマターはウィンプかアクシオンか、はたまた他の物理現象か、身も心も一日中揺らされている今日このごろ。だいたい、なぜ光速は秒速30万km以上でも以下でもないのか、皆さん不思議だとは思いませんか?

138億年(137億年と書かれている市販本は古い本)前に誕生したユニバースでは、40億年後に銀河系がM31に飲み込まれ、50億年後には地球が太陽に飲み込まれ、その太陽も巨大太陽から白色矮星に縮み、宇宙の膨張によって周辺はブラックホールしかない空間になり、やがてそのブラックホールも蒸発してしまう。唯々淋しい。

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