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宇宙を支配する「定数」 万有引力定数から光速、プランク定数まで

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宇宙を支配する「定数」 万有引力定数から光速、プランク定数まで

  • 臼田孝 著
  • 講談社
  • 264ページ
  • 定価 1100円

著者は計量標準総合センターの所長を務めた人で、いわゆる計量学の専門家。天文学を含め、物理定数の何たるかが良く判った方である。なので、早速第二部で時空に関する定数、すなわち原子時・光速・万有引力定数(G)が述べられている。続く第三部では、極微のミクロの世界、電気素量(e)とプランク定数(h)、量子電磁気学についてが説明され、ボルツマン定数(k)が語られ、エントロピーの実体が説明されている。観測天文学を学んでいる評者にとっては、一番苦手とするところ…だが、何のその、本書はとても判りやすく、閏秒の説明やその必要性の説明なども有り難い限りだった。

閏秒以外でもカルチャーセンターで講座を担当している評者にはとても役立つ知識ばかり。一例が光速度。中学生時代、それが秒速約30万kmだと知ったが、正確には秒速299792458mと有効数字がここまであると、一体どうやって知れたのだろうか。かつまた、これだけで正解というわけではないことは、本書112ページに詳しく説明されている。現時点での定義値なのだ。同様のことが万有引力定数についても言える。本書128ページにあるように、それが定数でない可能性があることが、現時点でわかっている。定数が定数でないって、一体どういうこと? どうか皆さん第10章以下を慎重にお読みください。いずれにしても「定数」は面白い!

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