Location:

Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

三体問題 天才たちを悩ませた400年の未解決問題

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Amazonで買う
三体問題 天才たちを悩ませた400年の未解決問題

  • 浅田秀樹 著
  • 講談社
  • 264ページ
  • 定価 1100円

さすがブルーバックス。書店で見かけたとき、評者大学時代(半世紀前)、天才達の一人では決してないけれど、一応悩みました。そのため思いました、こんなタイトルの本、出版されたとしても絶対に売れないよなと。まさにそのままずばり、三体問題。天体力学を学び、日食計算論の権威となった鈴木敬信先生からバカ扱いにされた学生は、改めて先生を尊敬するに至った。でも、手回し計算機時代の先生は、本当は一般解を知らなかったのではないだろうか、つまり現代の天文学者はコンピュータの多大な恩恵を被っているのだなと、評者は本書を読んで確信するに至った。

要するに本書を完読するには相当な覚悟が必要です。ですが、ブルーバックスだからさほど心配はご無用。理解しやすく書かれている。前書きに示されているように、この“問題への研究”を通じてどのように自然観が人類に獲得されたか、なるべく高度な数式を使わずに解説されている。そして、この三体問題は、アインシュタインによって重力波から一般相対性理論の確証まで、科学の歴史が進むのである。面白いですよ。科学史を学ぼうと思っている真面目なたまご達には必読の書である。そればかりでなく、本書最終章に書かれているように、多重連星系や系外惑星が多数見つかっている現代では、その解明に絶対的に必要となったのである。ぜひ、じっくりとお読みください。

この本を購入する Amazonで買う