「ひので」がとらえた巨大黒点の磁場構造

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24年ぶりの大きさとなった太陽の巨大黒点を、衛星「ひので」がその磁場構造とともにとらえた。黒点領域の磁場と、フレアによる地球への影響との関連性から、今後の推移が注目される。

【2014年11月20日 国立天文台

10月16日から30日まで太陽面に見えていた黒点は、黒点群全体で地球約66個分の面積(地球を66個並べた領域)、今活動周期最大にして約24年ぶり(1990年11月18日以来)の大きさとなった。この巨大黒点は太陽の自転にともなって11月に再び姿を現しており、少し小さくなったものの、日食観察用めがねで見える大きさを保っている。

10月下旬の黒点の動き
太陽の自転にともなう黒点の動き。国立天文台太陽観測所(東京都三鷹市)のフレア望遠鏡で撮影(提供:国立天文台)

この巨大黒点を、その磁場構造とともに太陽観測衛星「ひので」がとらえた画像が公開された。

可視光で見た黒点
可視光で見た黒点。縦幅はいずれも約12万km(提供:JAXA/国立天文台。以下同)

黒点の磁場構造
黒点の磁場構造。N極を白、S極を黒で表している

黒点は、太陽中心部からの熱が磁場にじゃまされて伝わりにくく温度が低いために暗く見える領域だ。フレアと呼ばれる大気中の爆発は、この磁場が原因と考えられている。

10月下旬の画像では、N極とS極が入り組んだフレアを起こしやすい磁場構造となっているのがわかるが、実際この時期には巨大フレアが6回起こった。11月15日、16日には中規模クラスのフレアが起こったが、磁場構造は10月ほど複雑ではないように見える。

フレアが起こると、荷電粒子が地球に飛来して磁気嵐を起こすことがあるが、10月下旬のフレアでは地球への影響はあまりなく、その理由について「黒点上空の磁場が強いためにプラズマの噴出が押さえ込まれた」などが候補として挙げられている。10月下旬ほどフレアが頻発しなかったとしても、これからしばらくは上空の磁場が衰退して地球に影響を及ぼすフレアが起こる可能性があり、今後の推移が注目される。