火星にも、やがて生命誕生か?新たな地球外生命探査ターゲット

【2005年4月7日 NASA Feature

国際チームによる研究結果から、年老いた恒星が赤色巨星の段階をむかえる際に、周辺に存在する惑星や衛星の持つ氷が溶け、生命体を誕生させる環境となる可能性が示された。今後、地球外の生命探査については、このような赤色巨星の周辺もターゲットに入れるべきだと研究チームは発表している。

(太陽のような星とその周りの惑星の想像図 1) (太陽のような星とその周りの惑星の想像図 2) (火星の水氷の画像)

(上)、(中)太陽のような星とその周りの惑星の想像図。中心の星が赤色巨星へと大きく姿を変えてゆくようす。(下)火星の氷の画像。下の画像のみ、クリックで拡大(提供:NASA)

2003年、火星に大量の水氷の存在が発見された。その探査は現在も進行中であるが、専門家は、現在は干上がっている火星の湖には、過去に豊富な水が存在していたと考えている。研究結果は、将来われわれの太陽が赤色巨星となって膨れ上がると、火星にも再び水が溢れ、太陽系の新たな生命誕生の時がおとずれる可能性を示しているのだ。

同様のことが、他の赤色巨星の周りに存在する惑星や衛星にも言えるというのである。数十億年前、それらの星は、われわれの太陽と同じように輝いていた。それら太陽のような星が赤色巨星の時期をむかえると、その大きさ、明るさが共に増大し、暖かい光線がそれまで凍った世界であった死の惑星や衛星に注がれる。そして、表面の氷が溶け、古く乾いたクレーターも暖かな海の一部となるとき、生命誕生の環境が用意されるというわけだ。

われわれから100光年の範囲には、現在少なくとも150個の赤色巨星が確認されている。これらの多くの周りには惑星が存在しているはずで、これらが今後、地球外生命探査の新たな観測対象に加わることになるようだ。NASAでは、地球に似た惑星を探査するケプラー・ミッションの探査機打ち上げを2007年に予定している。