2007年 夏の星空三昧

望遠鏡で観察しよう

天体望遠鏡を選ぶ

天体観察を楽しむなら、やはり望遠鏡がほしいもの。といっても、いきなり大きくて高価なものを買う必要はありません。

ためしに月のクレーターを見てみたい、という方には、組み立て望遠鏡がおすすめです。子どものおこづかいでも買えて、簡単に作ることができます。

これから本格的にはじめてみたい、という方は、星ナビがおすすめする、8cmのレンズを持つ屈折望遠鏡はいかがでしょうか。惑星の模様も楽しめて、長い間使い続けられます。

観察のコツ

惑星や月を天体望遠鏡で見るとき、見え方を大きく左右する要素がいくつかあります。

  1. 惑星の見え方は望遠鏡のレンズの大きさによって変わります。小さなレンズの望遠鏡よりは大きなレンズの望遠鏡のほうがよく見えます。これは、2つ接近した点を見分ける力が、大きなレンズのほうが優れているからです。

  2. 地上から天体を見るばあい、空気を通してみることになります。空気は目に見えませんから、何の影響もなさそうに思えますが、望遠鏡で拡大した月惑星をみると、空気の流れの強い日は惑星のもようがよく見えません。

    これは、ちょうど川の中の小石の見え方を思い出してみれば理解できます。空気も水も無色透明ですが、水の流れの速いところでは、水中の石がよく見えません。それと同じことが星を見るときにもおきているのです。星は夜空でまたたいていますが、あのまたたきもまた空気の流れのせいなのです。

    惑星や月の高さが低い時は空気の流れの影響を受けやすいものです。ですから、もっとも高くみえる南中の頃のほうがよく見えます。

  3. 望遠鏡はなるべくしっかりしたものを使いましょう。惑星を拡大したり、月の細かな地形を観察するときは、望遠鏡の倍率を高くすることになります。たとえば10cmのレンズをもつ望遠鏡で惑星を見る場合は、100倍〜150倍くらいでのぞくわけですから、ゆれの大きさも100倍に拡大されたように感じます。しっかりした架台や三脚が必要であることはすぐに理解できるでしょう。

木星を観察する

(木星)

望遠鏡から木星を見たイメージ。上:25cm、下:6cm

惑星の王者・木星はその名の通りもっとも観察しやすい惑星です。夏休みのあいだは、夕方に南から西にかけての空で輝いているのをかんたんに見つけることができます。

木星の表面には赤道に平行ないくつもの縞模様がありますが、5cmの望遠鏡なら、1〜2本の太い縞がわかります。8〜10cmの望遠鏡では、縞模様に濃淡があることや、凸凹している部分があることがわかり、条件の良い時にはさらに2本ほど細い縞もようが見えるでしょう。15cm以上の望遠鏡なら素晴らしいもようを楽しめます。

また、木星のまわりを回る明るい4つの衛星をガリレオ衛星といいますが、これらは小口径の望遠鏡でも十分に見えますし、10倍くらいの双眼鏡でも見ることができます。

月を観察する

次のページで、月を観察したときに見えるさまざまな地形と、その地名を解説します。実際に観察するときに便利な印刷用pdfファイルもあります。

もっと知りたい方のために

はじめてのスターウオッチング 天体観察入門従来の天体観察入門書の多くが、天文現象の法則の理解や望遠鏡の原理に多くのページを割いていたのに対して、「はじめてのスターウオッチング 天体観察入門」ではそうした記述を必要最小限にとどめ、その代わりに毎月のおすすめ天体や種類別の観察ポイントの紹介と、入門者に最適な望遠鏡などの天体観察グッズの使い方の紹介という2点に重点を置いた使いやすい構成です。

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