情報トピックス(2006年9月)

国内のさまざまなメディアで取り上げられた天文ニュースや天文分野の最新書籍などを紹介しています。記事の詳細については各リンク先を参照してください。なお、投稿画像は天体画像ギャラリーに掲載しております。天文関連書 新刊情報は、BOOK REVIEW をご覧ください。

2006/09/29

ソユーズ宇宙船、アンサリ氏を乗せ無事帰還

ロシア連邦宇宙局(FSA)は、ソユーズ宇宙船(12S)が初の女性宇宙旅行者となったアニューシャ・アンサリ氏と国際宇宙ステーションに長期滞在していた搭乗員2名を載せ、日本時間29日10時13分、カザフスタン共和国に無事着陸したことを発表した。

SuperWASPプロジェクトで、初めて系外惑星2個を発見

イギリス、フランス、スイスの研究家からなるチームが、アンドロメダ座といるか座に存在する木星サイズの系外惑星2個を発見した。ともにホットジュピター型の高温の系外惑星であるWASP-1bとWASP-2bは、主星に近く、強い放射を受けているため、惑星の大気はゆっくりと宇宙空間へ逃げ出している。WASP-1bの公転周期は2.5日、WASP-2の公転周期は2日となっている。なお、イギリス主導の系外惑星のトランジット観測プログラムであるSuperWASPの望遠鏡は、系外惑星探査では世界最大を誇っており、現在観測が続行される中、2004年からのデータの分析が同時に進められている。

ニューホライズンズのカメラが木星を撮影

冥王星探査機ニューホライズンズに搭載されている高解像度カメラ「LORRI」が木星の試写を行い、その画像が公開された。この画像は、ニューホライズンズ・プロジェクトにたずさわる研究者をすでに驚嘆させている。現在木星から2億9100万キロメートルの距離を飛行しているニューホライズンの木星最接近は来年2月28日。その際得られる画像は今回の125倍も鮮明となることから、カッシーニ探査機やガリレオ探査機以来の画像に期待が高まっている。

「オポチュニティ」がヴィクトリア・クレーターへ

9月26日、NASAの火星探査車オポチュニティがヴィクトリア・クレーターの縁に到達し、大きく口を開けたようなクレーターを捉えた画像が公開された。コーネル大学のSteve Squyres 博士は「このクレーターの地層を調べることは、地質学者の夢でした」と語り、火星の過去の環境を明らかにする貴重なデータが得られるだろうと期待が高まっている。オポチュニティーは、すでに当初予定の3ヶ月という探査期間の10倍も火星上で活動を続けている。

2006/09/25

「SOLAR-B」軌道投入成功、愛称は「ひので」に

2006年9月23日午前6時36分に、内之浦宇宙空間観測所からM-Vロケット7号機によって打ち上げられた太陽観測衛星SOLAR-Bは、M-V第3段モータ燃焼終了後、無事予定の軌道に投入された。また7時21分にはサンチャゴ局で、SOLAR-Bからの信号受信が開始され、SOLAR-Bがロケットから分離されたことや太陽電池パドルが正常に展開されたことが確認された。なお、SOLAR-Bの愛称は「ひので」と命名された。

2006/09/22

「SOLAR-B」いよいよ明日打ち上げへ

宇宙航空研究開発機構は、太陽観測衛星SOLAR-Bを明日9月23日午前6時36分に打ち上げることを発表した。なお、打ち上げのライブ中継は、午前5時30分から開始される予定。また、JAXA宇宙科学研究本部相模原キャンパス研究・管理棟2階大会議場でもライブ中継を見ることが出来る。(開場時間、その他詳細は、以下のSOLAR-Bカウントダウンページを参照のこと)。

「アトランティス号」ミッション終了

スペースシャトル「アトランティス号」(STS-115/国際宇宙ステーション組立てミッション(12A))は、日本時間9月21日午後7時21分に、フロリダ州NASAケネディ宇宙センター(KSC)に無事着陸し、11日19時間6分にわたるミッションを無事終えた。

2006/09/20

大野裕明氏の「オーロラ写真展」が開催に

天体写真家の大野裕明氏のオーロラ写真展が9月20日(水)〜9月25日(月)まで、福島市のふくしんギャラリーで開催される。美しく神秘的なオーロラの写真に加え、会場では隕石も展示される。(入場は無料、開催時間は午前9時から午後4時30分まで。)

「アトランティス号」着陸延期

NASAは、着陸地の天候不良と「アトランティス号」の機体について追加の検査が必要であることを理由に着陸を延期する旨発表した。追加検査は、姿勢制御装置(RCS)の確認作業中、に「アトランティス号」近傍に浮遊する小さな物体が観測されたため。9月20日に実施される検査で、「アトランティス号」から剥離したものかどうかなど、安全性が確認されることになっている。 )

2006/09/15

楕円軌道への投入に成功、マーズ・リコネイサンス・オービター

3月に火星に到着したNASAの探査機マーズ・リコネイサンス・オービター(MRO)は、楕円軌道への投入に成功した。軌道の高度は、火星の表面から250km〜316km。今後は、探査機の両側に搭載されているアンテナ(片側各5メートル)が展開されるなど、今月中にはすべての観測機器のチェックや観測モードでのテストが行われるほか、マーズ・リコネイサンス・オービター(MRO)にもっとも期待されている高解像度の画像撮影も行われることになっている。

ISSの太陽電池パネルが展開に成功

日本時間9月14日夜に国際宇宙ステーション(ISS)に取り付けられた太陽電池パネルの作業が行われ、無事展開に成功した。2002年以来の建設再開ミッションとなった今回のSTS-115に続く次のSTS-116の実施は、早ければ今年の12月頃と予定されている。

2006/09/11

アトランティス号と共に、JAXA提供ハイビジョンカメラ宇宙へ

国際宇宙ステーション組み立てミッションであるスペースシャトル「アトランティス号」(STS-115)が日本時間9月10日午前0時15分にケネディ宇宙センターから打ち上げられた。これで、スペースシャトルの打上げは116回目となった。なお、今回「アトランティス号」には、JAXA提供のハイビジョンカメラが搭載されており、軌道上でのハイビジョン映像の取得実験が行われることになっている。

情報収集衛星光学2号機、無事分離

日本時間の9月11日13時35分に、種子島宇宙センターから情報収集衛星光学2号機を搭載したH-IIAロケット10号機(H-IIA・F10)が打ち上げられた。打ち上げは成功し、10号機は正常に飛行、情報収集衛星光学2号機の分離も確認された。

2006/09/08

「星空案内人」資格認定制度がスタート

ユニークな「星空案内人」の資格認定制度が創設され、受講生の募集が9月7日から開始された。これは、山形大学の研究者と、宇宙や星好きな市民がつくる NPO法人小さな天文学者の会が共同で創設した制度。「星空案内人」とは、おいしいワインを選んでくれるソムリエのように星空や宇宙の楽しみ方を教えてくれるスペシャリストだ。

資格を取得するには、「やさしい宇宙講座」を受講し、準案内人資格を取得したのち、星空案内人の資格取得へと進むことになる。主催者側では、資格取得に関係なく宇宙や星について勉強したい人は「やさしい宇宙講座」へ参加してほしいと呼びかけている。

2006/09/07

「アトランティス号」打ち上げ、さらに二日間延期

日本時間9月7日1時29分(米・東部夏時間 6日午後12時29分)に予定されていたスペースシャトル「アトランティス号」の打ち上げについて、NASAは1日延期することを発表した。アトランティス号に電力を供給する3機の燃料電池のうち、第1燃料電池の冷却装置に問題が生じたためとのことである。

その後、この問題の対応に時間がかかるとされたため、NASAはさらに1日の延期を決定。この結果、打ち上げ予定時刻は日本時間9月9日午前0時40分(米・東部夏時間 8日午前11時40分)となった。

2006/09/04

「ニューホライズンズ」のカメラがファーストライト

冥王星探査機「ニューホライズンズ」に搭載されている高解像度カメラ「LORRI」の保護カバーが開き、初の画像撮影が行われた。LORRIが捉えたのは、天の川銀河の星団であるM7で、得られた画像から、ニューホライズンズに搭載されている7つの機器すべてが宇宙空間で正常に動作していることが確認された。

お気に入りのチャンドラ画像に一票を!

NASAのX線観測衛星チャンドラのホームページでは現在、多くの画像の中からベスト・ショットを決める"イメージ・オブ・ザ・イヤー"の投票の受付けをしている。1999年の打ち上げ後から7年間に渡り捉えられてきた美しいチャンドラの画像の中から、あなたのお気に入りを選んで一票投じてみてはいかがだろうか。なお、ベスト・ショットの発表は10月16日に予定されている。

2006/09/01

「アトランティス号」次回打ち上げ日は9月7日

熱帯低気圧のため延期されていたスペースシャトル「アトランティス号」の打ち上げについて、NASAは日本時間9月7日1時29分(米・東部夏時間 6日午後12時29分)に実施することを発表した。

"惑星探査機"改め、"矮惑星探査機 ニューホライズンズ"

惑星定義が決定したことで、ニューホライズンズは少なくとも、矮惑星(または矮小惑星)探査機となった。しかし、小惑星のセレスが矮惑星に昇格するかどうかによって、矮惑星への最初の探査機となれるかどうかはまだ微妙だ。NASAでは、来年の夏にドーン計画(Dawn Project)を実施する予定で、この計画ではセレス到着は2015年2月となるため、ニューホライズンズよりも5ヶ月早く到達することになる。

世界最大級のソーラーセイル展開に成功

宇宙科学研究本部では、現在計画検討中のソーラー電カセイルミッションに用いる薄膜宇宙構造物である、ソーラーセイルの展開実験を8月30日に行った。気球によって上空へ運ばれたソーラーセイルは、高度37.0kmで水平浮遊状態に入り、展開に成功した。展開した膜面のサイズは差し渡し20メートルと世界最大級。実験成功によって、動作状況に関するデータも記録され、上空で空気抵抗を抑えた実験の方法も新たに開拓された。

マーズ・リコネイサンス・オービター、エアロブレーキ完了

3月に火星に到着したNASAのマーズ・リコネイサンス・オービターは8月30日、半年に及んだエアロブレーキ(火星の大気を利用した減速)を完了した。

仕上げに6分間エンジンを噴射して大気から離れたが、全体を通してエアロブレーキを使ったことで600キログラムもの燃料を節約した。今後軌道を微調整し、11月からの本格的なミッション開始に臨む。