ミール落下は23日に決定 直前に日本上空を通過

【2001年3月21日】

3月20日にロシア政府の関係省庁委員会が開催され、ミール落下の基本計画が決定された。それによると、落下計画の実行は日本時間で3月23日で、午前9時30分頃・午前11時頃・午後2時頃の3回のエンジン噴射によりミールを減速させ、午後3時〜3時30分ごろに南太平洋に落下させる (いずれも日本時間)。

ミールは落下直前の午後2時30分ごろに日本の上空170〜150キロメートルを通過する予定だが、ロシアは減速の際に燃料を全て使い果たす計画であるため、エンジン噴射が過剰となって落下地点が日本に接近する可能性は無い。

ミールの日本上空通過コースに関しては、島根から徳島を結ぶ線を中心として両側に計600キロメートルほどの幅があり、東は福井県から静岡県、西は福岡県から大分県までの範囲が含まれる。

ただし、これはあくまで基本計画であり、少しずつの変更はあり得る。たとえば、第3回のエンジン噴射が上記の1周後になる可能性が残されており、この場合、第3回エンジン噴射以降の時刻が約90分遅れとなり、日本上空の通過は、3月23日16時前後になる見通しである。また、落下直前の通過コースは大幅に西にずれ、本州上空は通過しない。

なお、エンジン噴射時において異常が生じた場合は自然落下となるが、その場合はミールがどこに落下するかは落下直前までわからず、ミールが上空を通過する北緯52度〜南緯52度の地域すべてに危険が及ぶ。また落下時期は、何も噴射しない時の自然落下予定日 (3月27日〜3月30日) より早まる可能性がある。

また、23日に何らかのトラブルがあった場合のバックアップ案として、24日の落下計画も立てられている。

ロシア航空宇宙庁飛行管制センターの発表によると、現地時間3月20日現在、ミールの軌道の平均高度は224.4キロメートルで、1日あたり3.5キロメートル自然降下している。自然落下の場合の落下予測日は、3月27日〜3月30日。

なお、ミールが落下直前に日本上空を通過する際の高度は170〜150キロメートルといわれているが、ミールが大気摩擦により燃え始めるのは高度110〜100キロメートルに達してからといわれており、残念ながら火の玉は見られそうに無い。しかし、日本上空を通過する際でも、摩擦によりかなりの高温に達しており、赤外線では明るく輝いているといわれている。

したがって、落下直前のミールを撮影するためには、銀塩カメラ+赤外フィルター (R-64など)+赤外フィルム+中望遠レンズ、もしくはモノクロCCDビデオカメラ (赤外感度の高いもの) +赤外フィルター+中望遠レンズの組み合わせがおすすめだ。また、低空を飛ぶミールは、燃えていなくても、太陽光を反射して金星ほどの明るさで輝いているため、昼間であっても双眼鏡を用いれば目視で発見することが可能だ。簡単ではないが、めったに無いチャンスなので、ぜひ観測・撮影に挑戦してみてほしい。

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