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8月15日、金星が西方最大離角(せいほうさいだいりかく)となり、夜明け前に見やすくなります。16日には水星が西方最大離角となり、月もそばにやってきます。

明け方の金星と水星を見る

8月15日 金星が西方最大離角

明け方の東の空で、明けの明星として輝いている金星が、金星食の翌日の8月15日に西方最大離角()を迎える。金星が地平線上に現れるのは1時30分頃。明けの明星と呼ぶにはあまりに早く、薄明前の暗い夜空に金星が昇ってくると、1等星の100倍の明るさに相当する−4.3等の輝きで地面にうっすらと影ができるほどだ。もちろん、明け方になれば高度は高くなり、日の出30分前で35度にもなる。

下の図は、14日〜16日の日の出30分前の東の空のようす。主な都市の日の出時刻の表を参考にしながら見てみよう。惑星の位置は3日間で大きな違いはないが、月についてはそれぞれの日の位置を示している。

14日〜16日の日の出30分前の東の空のようす
主な都市の8月16日の日の出時刻
札幌仙台東京名古屋大阪広島鹿児島那覇
04:4004:5005:0005:1205:1905:3205:4306:01

8月16日 水星が西方最大離角

また、金星のさらに内側を回る水星も、金星と申し合わせるように、翌16日に西方最大離角となる。さすがに金星ほどではないが、日の出30分前の高度は10度、明るさは0.2等に達する。水星を見るにはなかなかの好条件なので、金星を見つけたら、ぜひ水星も探してみよう。

水星を見つけるコツは、まず早起きすること。8月14日〜8月22日までは日の出30分前の高度が10度以上あるので、金星より15度ほど北寄りの空、高度10度あたりに注目してみよう。0等級で朝焼けに負けずにキラキラ輝く水星が見えるはずだ。もしわからなかったら、双眼鏡を使って地平線から東南東を中心に視野を左右に振りながら、少しずつ高度を上げてみよう。気をつけなければいけないのは、真東のほぼ同じ高度に、こいぬ座のプロキオンが、さらに右には、おおいぬ座のシリウスが光っていること。明るい星がいくつも視野に入ってきたときは、いちばん左(北)の星が水星だ。

月も並ぶ

ところで、8月14日の朝焼けの中では、金星食を終えたばかりの金星のすぐ下に月が輝いている。また8月16日には、細くなった月齢27.6の月と水星が並ぶ。ちなみに、8月12日の明け方には、もう少しで木星食というところまで月と木星が大接近している。

少しずつ涼しさが感じられるようになってきた日の出前、コバルトブルーからオレンジ色に変化する空をバックに、美しく光り輝く金星と月、そして、水星を探すときの道しるべともなる月と水星のランデブーを、早起きして楽しんでみよう。

「西方最大離角」とは?

火星や木星のように地球の外側にある惑星は、太陽と反対側に位置する=真夜中に見えることがある。だが、内惑星である水星と金星は、地球から見て常に太陽から近い方向に位置しているので、夜明け前か日没後すぐにしかその姿を見ることができない。

太陽―地球―内惑星の相対的な位置は公転運動で変化するが、下の図のように、3つの天体がなす角度が最大になるタイミングを「最大離角」という。「東方最大離角」の時は太陽から東側に離れるため、日没後でも比較的高いところに位置し、長い時間地平線上で輝く姿を見ることができる。

一方、「西方最大離角」の時は太陽から西側に離れるため、太陽が昇るよりもずっと早く、東の空で眺めることができる。

水星・金星が最大離角となるしくみ

「東方最大離角」の時は西の空、「西方最大離角」は東の空で見えるというのが少しまぎらわしいが、しくみがわかれば納得できるだろう。

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ステラナビゲータ9
で西方最大離角の金星・水星を見る

ステラナビゲータで天球上における金星と水星の日々の位置変化を確認するには、ステラパッドかステップボックスの日付をクリックするのが簡単だが、日の出の時刻は毎日変わり(この時期は日ごとに遅くなる)、同じ時刻では、薄明時の空の明るさも変化する。そこで、[日時]ダイアログボックスから[時刻の固定]をチェックしておくと、太陽の出没時刻を基準に設定することができる()。例えば日の出50分前に設定しておけば、1日以上の単位で日付を増減させると、前後数日間ならほぼ同じ薄明中の条件で月や惑星などの位置関係を見ることができるというわけだ。

天体をクリックすると天体情報パレットが表示される()。ここには、その日付時刻での光度や視直径はもちろんのこと、さまざまな天体位置情報の数値が表示されている。特に、地平線から高く昇らない水星の高度が詳細にわかるので便利だ。建物や山で隠されないかを事前に検討できる。

リボンバーの[惑星・衛星]タブあるいはメニューバーの[天体]から[惑星]をクリックすると、惑星の表示倍率を変えることができる()。水星・金星の満ち欠けを見たい場合、わざわざズームインしなくても、表示倍率を大きくすることで広い視野範囲のままで欠け具合が確認できる。

日の出前の時刻を固定し、惑星の表示倍率を拡大して、光跡残しを設定、そして10日おきに日付をステップで進めると、金星のダイナミックな動きと満ち欠けがひと目でわかる()。

時刻を固定する

メニューバーの[設定]から[日時]をクリック

メニューバーの[設定]から[日時]をクリックするか、設定バーの[日時]をクリックすると、[日時]ダイアログが開く。

[日時]ダイアログで時刻を固定

[日時]ダイアログで[時刻の固定]を設定。ここでは日の出50分前に固定した。ステラパッドやステップボックスで日付を変えると常に日の出50分前の星空が描画される。アニメーションにも対応している。時刻の固定を設定したら、当然のことながら、日時は1日以上の単位で増減させなければならない。

天体情報をチェックする

天体情報パレット

任意の天体の光度や視直径、位置情報などは、天体をクリックすると表示される天体情報パレットで確認できる。これらの情報は、設定されている日時と緯度経度(ステラパッドに表示)で計算されている。

惑星の拡大表示

[惑星]ダイアログ

[惑星]ダイアログでは惑星の拡大表示を最大500倍まで設定できる。視野範囲はそのままで、金星と水星の満ち欠けや、木星や火星の自転による表面模様の変化、土星の環の傾きなどを表示することができる。

[惑星]ダイアログを表示するには、メニューバーの[天体]から[惑星]をクリックするか、リボンバー[惑星・衛星]タブの[詳細]をクリックする。

また、リボンバー[惑星・衛星]タブの[表示倍率]に数値を入力して設定することもできる。下図は、それぞれ1倍、100倍、300倍、500倍で表示させた木星と金星のようす

惑星を拡大表示したようす

惑星の動きを追いかける

ステラナビゲータの設定を駆使して、2012年6月26日から11月23日までの夜明け前の東の空の惑星の動きを10日間隔で描画してみた。

惑星や月の動きを連続表示

場所=東京
時刻固定=日の出50分前
惑星表示=250倍
日付、高度方位線=表示オン
恒星=表示オフ
光跡を残す設定で、10日間隔でステップ表示