90万光年彼方、でも天の川銀河の恒星

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【2014年7月15日 ハバフォード大学

私たちの天の川銀河といえば、直径およそ10万光年の渦巻状の円盤が思い浮かぶ。だがそこからさらに遠く離れた、90万光年彼方の赤色巨星が見つかった。これもれっきとした天の川銀河に属する恒星だという。


ULAS J0744+25から見る天の川銀河の円盤

赤色巨星ULAS J0744+25(左)からはるか遠くに臨む天の川銀河の円盤(右)の想像図。クリックで拡大(提供:Visualization Software: Uniview by SCISS Data: SOHO (ESA & NASA), John Bochanski (Haverford College) and Jackie Faherty (American Museum of Natural History and Carnegie Institute's Department of Terrestrial Magnetism))

私たちの天の川銀河は、直径およそ10万光年の円盤が主な構造だ。さらにその円盤を大きく取り囲むように星がまばらに存在する「銀河ハロー」もまた、天の川銀河の一部である。

銀河ハローは、天の川銀河の伴銀河である大マゼラン雲までの距離(16万光年)よりもさらに遠くまで広がっている。銀河中心から40万光年以上離れた恒星はこれまでわずか7個しか見つかっていなかったが、John Bochanskiさん(米・ハバフォード大学)らの観測で、さらに遠方の星が2つ見つかった。

ふたご座の方向77.5万光年彼方の「ULAS J0744+25」と、うお座の方向90万光年彼方の「ULAS J0015+01」は、サーベイ観測のデータから見つかった赤色巨星で、分光観測により距離が確定された。大規模な銀河としてはもっとも近いアンドロメダ座大銀河までの距離(約230万光年)の3分の1以上だ。その運動速度や距離から、かつて天の川銀河にぶつかり吸収された数多くの小さな銀河の残骸ではないかといった可能性が考えられている。

同じような遠方の赤色巨星を捜索することで、天の川銀河の形成のモデルを検証できると期待される。多くのモデルではそれほどたくさんの恒星は存在しないと予測されているので、もし多数見つかったとなれば、モデルの再検討が必要になるだろう。