小惑星シュテインスの3D画像

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【2013年9月6日 ESA

欧州の探査機「ロゼッタ」が2008年に小惑星シュテインスを接近観測したデータを元に作られた3D画像が公開された。ロゼッタは2014年に初の彗星着陸探査を目指している。


小惑星シュテインスの3D画像

小惑星シュテインスの3D画像。クリックで拡大(提供:ESA (c)2008 MPS for OSIRIS Team MPS/UPD/LAM/IAA/RSSD/INTA/UPM/DASP/IDA)

小惑星シュテインスとチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の軌道

小惑星シュテインスとチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の軌道。クリックで拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

画像は、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の探査機「ロゼッタ」が2008年9月5日に小惑星シュテインス((2867) Steins)に接近観測した際のデータをもとに作成したもの。最接近時、幅5kmの小惑星とロゼッタとの距離は約800kmであった。一方に赤、もう一方に青または緑のフィルターがついためがねを使うと、立体画像として見ることができる。

ダイヤモンドのような形の小惑星の表面には40個ほどのクレーターが見えている。とりわけ目立つのは上部にある幅2km、深さ300mの大きなくぼみや、側面から天体の北極(画像中、下方)にかけて連なる複数の小さなクレーターだ。

ロゼッタはシュテインスに続いて2010年7月、小惑星ルテティア((21) Lutetia)を接近観測した。その後、観測機器などをシャットダウンして現在は冬眠状態にある。2014年1月末には再び眠りから覚め、数か月後に最終目標であるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P/Churyumov-Gerasimenko)とのランデブーを開始する。

ロゼッタは彗星とともに飛行しながら、凍った彗星が太陽の熱によってどのように変化するのかを初めて観測する。2014年11月には彗星の表面に着陸機「フィラエ」がを投下する予定で、成功すれば史上初の彗星着陸となる。

彗星は太陽系のもっとも原始的な構成要素とされており、またおそらく、生命の繁栄に欠かせない水を地球にもたらした種のような役割を果たしたとも考えられている。ロゼッタによる彗星の固体やガス成分の調査で、太陽系の進化における彗星の役割について理解が深まることだろう。