もっとも軽い系外惑星を発見

【2009年4月23日 ESO

恒星Gliese 581は太陽よりもはるかに暗いが、興味深い天体だ。これまでに3つの惑星が見つかっていて、そのうち1つはGliese 581から適度な距離にあるため、液体の水が存在するかもしれない。さらに、今回新たに見つかった4つ目の惑星は、質量が地球の1.9倍。系外惑星の最軽量記録を塗り替えた。


(太陽系とGliese 581系のハビタブルゾーン(帯状の領域)を比較した図)

太陽系とGliese 581系のハビタブルゾーン(帯状の領域)の比較。縦軸が恒星の質量、横軸が恒星からの距離(AU=天文単位)。クリックで拡大(提供:ESO, Franck Selsis (Univ. of Bordeaux))

Gliese 581は、てんびん座の方向約20.5光年の距離に位置する、太陽よりも小さな恒星(赤色矮星)である。Gliese 581のまわりには、これまでに3つの惑星が発見されている。発見順に、Gliese 581 b(質量は地球の16倍)、Gliese 581 c(同5倍)、Gliese 581 d(同7倍)である。

スイス・ジュネーブ天文台のMichel Mayor氏らの研究チームは、ヨーロッパ南天天文台のラ・シーヤ天文台3.6m望遠鏡に備え付けられた分光器「HARPS」を使って、Gliese 581のまわりに4番目の惑星「Gliese 581 e」を発見した。惑星の公転にともない、Gliese 581が人間の早歩き程度の速さでわずかに震えているのを検出したのである。

Gliese 581 eの質量は地球の約1.9倍と、これまでに知られている系外惑星のなかではもっとも軽い。岩石惑星である可能性が高いと見られている。公転周期は3.15日で、恒星に近すぎて生命が存在する可能性は低い。

一方、2007年に発見されたGliese 581 dは地球よりもはるかに重いものの、液体の水が存在するかもしれない。Mayor氏らはGliese 581 dの軌道をより正確に求め、公転周期が従来の計算値よりも小さい66.8日であると発表した。Gliese 581が太陽よりもはるかに冷たい星であることを考えれば、これは水が蒸発せず凍りもしない範囲(ハビタブルゾーン)である。

研究チームの一員でジェノバ天文台のXavier Bonfils氏は「赤色矮星のまわりで、ハビタブルゾーンに位置する地球のような惑星の検出は可能なはずです」と、今後の成果を確信している。

Gliese 581の惑星のデータ
惑星名 質量(倍) 公転周期(日) 公転距離(AU) 発見年
Gliese 581 b 15.6 5.37 0.041 2005
Gliese 581 c 5.06 12.9 0.07 2007
Gliese 581 d 8.3 66.8 0.22 2007
Gliese 581 e 1.9 3.15 0.03 2009

(質量は、見積もられる最低値を地球の質量で割った数値。1AU(天文単位)は、地球と太陽の平均距離)

ステラナビゲータVer.8で系外惑星の位置を表示

ステラナビゲータVer.8では、Gliese 581 dやeが存在する方向を星図に表示させることができます。惑星の存在が確認された恒星を追加天体として「コンテンツ・ライブラリ」で公開しています。ステラナビゲータ Ver.8をご利用の方は、ステラナビゲータの「コンテンツ・ライブラリ」からファイルをダウンロードしてください。

なお、惑星Gliese 581 dやeが存在する恒星には「Gliese 581」だけではなく、さまざまな呼び方があります。「コンテンツ・ライブラリ」からダウンロードできるデータには、「HO Lib」として登録されています。