小さな星に、小さな惑星を発見

【2008年6月12日 NSFUniversity of Notre Dame

質量が地球の約3倍と、観測史上もっとも小さな惑星が発見された。この惑星が回っている親星の質量は太陽の1割以下で、こちらも惑星が見つかった星としては最小記録である。


(MOA-2007-BLG-192Lbと親星の想像図)

MOA-2007-BLG-192Lbと親星の想像図。クリックで拡大(提供:NASA's Exoplanet Exploration Program)

米・ノートルダム大学のDavid Bennett氏が率いる研究チームが、今まででもっとも質量の小さな惑星を発見した。MOA-2007-BLG-192L bと呼ばれる惑星の質量は、地球の約3倍しかない。昨年見つかったGliese 581 cの質量(地球の約5倍)をさらに下回っている。

この惑星はMOA-2007-BLG-192Lと呼ばれる星のまわりを、太陽系で言えば太陽から金星程度離れて回っている。MOA-2007-BLG-192Lの質量は太陽の6パーセント程度と推定されていて、これまた記録的に小さい。核融合反応を持続させて自ら輝く「恒星」となるには太陽質量の8パーセント以上が必要とされているので、MOA-2007-BLG-192Lは生成時の余熱だけで鈍く輝く「褐色矮星」の可能性がある。

「これまで、質量が太陽の20パーセント以下の星を巡る惑星が見つかった例はありません。今回の発見は、どんなに小さな星にも惑星が存在しうることを示唆しています」とBennett氏は語る。彼が目指すのは、文字どおり地球質量の惑星を見つけることだ。そのために、検出感度が高い「重力マイクロレンズ法」を使った捜索を行っている。

一般相対性理論によれば、強い重力が働くと光の進行方向は大きく曲げられる。そのため、地球から見てある星がさらに遠方の天体の前を横切った場合、手前の星が重力によってレンズの役割を果たし、遠方からの光が集められて明るく見えることがある。これが「重力マイクロレンズ効果」だ。ある恒星のまわりを惑星が回っている場合、恒星の方が明るすぎて惑星を分離観測することは困難である。しかし、恒星系が遠方の天体の前を横切った場合、惑星による重力マイクロレンズ効果は、恒星によるものから時間差をおいて、分離して検出できる。原理的には、質量が地球の10パーセントしかない惑星でも発見できるという。

重力マイクロレンズ法の欠点は、星が別の天体を横切るという珍しい現象を待たなければならない点だ。ひとたび始まれば、現象は1日ほどで終わってしまう。日本とニュージーランドが主導し、Benett氏らも所属する重力マイクロレンズ観測プロジェクト(MOAプロジェクト)では、これを逃さないように世界中の望遠鏡で夜空を監視している。

今回の観測に使われたのは、ニュージーランド・マウントジョン天文台にできたばかりのMOA-II望遠鏡。一度に満月の13倍もの領域を撮影する能力が、発見に結びついた。系外惑星探査の分野では、観測衛星も含めたさまざまな計画が進行しているが、Benett氏は地球質量惑星発見の一番乗りを目指すと宣言している。


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