「はやぶさ」サンプル採取の日程決まる!

【2005年10月28日 宇宙航空研究開発機構 宇宙ニュース

今年9月12日小惑星「イトカワ」の手前約20キロメートルに到着した「はやぶさ」は、その後イトカワの観測を進めてきた。ターゲットであるイトカワまで10月27日現在、3.5キロメートルまで接近している。目標は目の前だ。そして、いよいよその最大の目的であるサンプル採取を行う日程が決定し、発表された。

(はやぶさが捉えたイトカワの画像)

はやぶさが捉えたイトカワの画像(1自転分を撮像した画像から作成された、「イトカワ」自転アニメーションより)クリックで拡大(提供:宇宙航空研究開発機構(JAXA))

2003年5月に打ち上げられた「はやぶさ」は、7月31日と10月3日に姿勢制御装置3基のうち2基に相次いで不具合が発生し、残る1基とジェット(化学エンジン)による姿勢維持機能に切り替えて稼動してきた。これら不具合のために、帰還に充分な燃料確保が急務の課題となり、燃料消費量の削減策が検討されてきた。検討の結果、微小なジェットの噴射を精度よく管理する方法にめどがつき、帰還までに必要な燃料を確保できることが確認できた。さらに、今後新たな故障が起きないかぎり、帰還は可能であると判断された。

なお、サンプル採取のリハーサルと2度の着陸・採取の日程は以下の通りとなっている。いずれも日本時間における日中に実施の予定。なお、降下および試料採取の予定地点には複数の候補があるため、今後変更となる可能性がある。その場合、実施時刻は最大6時間程度前後する可能性がある。

    1.11月4日(金)リハーサル降下
          88万人の名前を載せたターゲットマーカを投下

    2.11月12日(土)第1回着陸・試料採取
    3.11月25日(金)第2回着陸・試料採取

日本の小惑星探査機「はやぶさ」は、小惑星にランデブーし、サンプルを回収して地球に持ち帰る。原始の太陽系の姿がそのまま残っていると考えられる小惑星のサンプルが無事帰還し回収されれば、世界初の快挙となる。なお、「はやぶさ」が小惑星に降下するための「目印」となるターゲットマーカは、世界中から寄せられた88万人分の名前が刻まれたアルミフィルムで覆われている。(「スペースガイド 宇宙年鑑2005」より一部抜粋)