土星探査機カッシーニが明かした、冷たい土星のリング

【2004年9月7日 JPL News Release

土星探査機カッシーニが、詳細な土星のリングの温度計測を行った。赤外線分光器による計測では、土星のリングの比較的温かい領域や冷たい領域の存在が明らかにされた。

(温度別に疑似カラーで表された土星のリングの画像)

温度別に疑似カラーで表された土星のリングの画像。リング下中央に捉えられているのは、衛星エンケラドス(提供:NASA/JPL/GSFC/Ames)

公開された画像は、カッシーニが土星周回軌道に入った直後の今年7月1日に計測したリングの温度について、その違いを疑似カラーで表したものだ。赤は比較的温かく摂氏-160度、青はかなり低い摂氏-200度、緑は摂氏-180度となっている。

A環外側やB環中心のようにリングが不透明な部分では、より温度は低くなっている。一方、リングが透明なカッシーニの間隙(A環中の赤い部分)やC環の内側(黄色と赤の疑似カラー)は、比較的温かい。不透明な部分では光を通さないため低温となり、透明な部分では多くの光が通り抜けるため温かくなると考えられており、以前からの専門家の推測どおりの結果となっている。さらに、C環の小環とカッシーニの間隙が周囲より低い温度になっている点は、今回の計測によって初めて明らかにされた。

カッシーニに搭載された計12の機器の中で、この赤外線分光器は、大気やリング、土星表面から放射される赤外線を計測する役割を果たす。これにより、土星とタイタンの大気中に含まれるガスの組成と鉛直温度分布図が作成されることになっている。