ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた「ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド」

【2004年3月12日 HubbleSite NewsCenter

NASAのハッブル宇宙望遠鏡が、ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド(HUDF)と呼ばれる領域に、はるか遠い宇宙にある銀河を一万個ほど捉えた。ビッグバン後、光さえも通ることのできなかった「宇宙の暗黒時代」直後に現れた宇宙最初の銀河の姿が見事に捉えられている。

(ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールドの画像)

公開されたハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド。一万個近い銀河の姿が捉えられている。クリックで拡大(提供:NASA、ESA、S. Beckwith (STScI))

ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールドは、南天の「ろ座」の一角に位置する領域で、天球上での大きさは月の直径の10分の1にあたる(星図)。あまりに暗いため地上の望遠鏡による観測では何も捉えられないが、ハッブル宇宙望遠鏡のACSカメラとNICMOSカメラによって、ビッグバンから4億から8億年後(赤方偏移パラメータz=7〜12)というはるか遠い宇宙に美しい一万個もの銀河の姿を見ることができるのだ。

HUDFには、最遠の銀河の候補と見られる暗くて赤い天体のほか、とても古くちりをたくさん持った銀河やクエーサー、冷たい矮星などが捉えられている。以前のハッブル・ディープ・フィールドに捉えられていたのが子どもの銀河であるとすれば、ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールドに捉えられているのは、ほんの赤ん坊の銀河と言えるだろう。宇宙誕生から10億年以内という、銀河が大きく変化していた重要な時期の姿が写し出されているのである。

ハッブル・ディープ・フィールドがそうだったように、ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド(HUDF)に関する新しいデータによって、初期宇宙の銀河の進化などについて今後さまざまな研究成果が生まれることだろう。