ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた、宇宙に浮かぶ1光年サイズの真珠のネックレス

【2004年2月20日 HubbleSite NewsCenter

NASAのハッブル宇宙望遠鏡が捉えた、宇宙に浮かぶ美しいリングの画像が公開された。真珠のネックレスのように美しく輝いている。

(SN 1987Aの写真)

ハッブル宇宙望遠鏡のACSカメラによるSN 1987A。2003年11月28日撮影(提供:NASA、P. Challis, R. Kirshner (Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics) and B. Sugerman (STScI))

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えたこの画像は、今では爆発時の明るさの数百分の1まで暗くなっている超新星SN 1987Aである。直径約1光年のガスのリングに沿って明るい点が並んで見えており、さながら宇宙に浮かぶ真珠のネックレスのようだ。これは、爆発時に発せられた時速100万キロメートルにも及ぶ猛スピードの衝撃波が、爆発の2万年前に放出され広がっていたリングに突っ込み、その衝撃によって熱せられたリングの一番内側の部分が光って見えているのである。

超新星SN 1987Aは、16万光年の距離にある近傍銀河・大マゼラン雲に出現した若い超新星で、1987年2月23日に発見されたものだ。ハッブル宇宙望遠鏡は、1990年の打ち上げ以来、超新星SN 1987Aの観測を続けている。

1996年に1個目の真珠の粒(明るい点)が発見されていたが、現在ではそれがリングのまわりにいくつも現れている。この点は、1000度ほどから100万度弱に熱せられている。地上に設置されている望遠鏡ではこれらの明るい点は観測できず、ハッブル宇宙望遠鏡のACSカメラでしか捉えることのできない。この明るい点は続々と現れてきており、衝撃のエネルギーを吸収し続けている。今後数年のうちにはリング全体が燃えるように輝き始めて星周辺を明るく照らし出すと考えられており、星がどのようにして爆発前に物質を放出するかなど新しい情報がもたらされることになるだろう。

また、リングの中心に見られる長く引き伸ばされている部分は超新星爆発の残骸で、爆発で作られたチタン44という放射性元素などによって熱せられ輝いている。この残骸は、今後数十年間にわたって輝き続けるようだ。