われわれに近い銀河で起こっている、星々誕生の大爆発

【2003年12月10日 HubbleSite - NewsCenter

NASAのハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、たくさんの星々を生み出している星形成領域NGC 604の画像が公開された。色鮮やかな画像からは、爆発的に星が誕生しているようすが生々しく伝わってくる。

(NGC 604の画像)

(提供:NASA and The Hubble Heritage Team (AURA/STScI)、謝辞:D. Garnett (U. Arizona), J. Hester (ASU), and J. Westphal (Caltech))

NGC 604は、さんかく座の銀河M33の中にある星雲だ。M33は天の川銀河やアンドロメダ大銀河M31などで構成される局部銀河群のメンバーの1つで、270万光年とかなり近距離にある。このM33の渦巻き部分に位置している星形成領域NGC 604は1300光年ほどの大きさがあり、薄暗い雲の中に200以上の青い星々が輝いている。有名なオリオン大星雲と比較してみると、大きさでは100倍も大きい。局部銀河群の中でこれよりも大きな星形成領域は、大マゼラン雲にあるタランチュラ星雲だけである。また、若い星々の数も、4つしかないオリオン大星雲よりも圧倒的に多い。

NGC 604はひじょうに若く、形成されてからほんの300万年程度しか経っていないと考えられている。そこに含まれる星の中には、太陽の120倍以上もの大質量を持ち表面温度が40000度のものもある。こういった高温の星から放射された紫外線によって、星雲が美しい蛍光色に輝いて見えるのである。

NGC 604は、巨大な星形成領域のサンプルを私たちに提供してくれるだけでなく、はるか遠方に存在しているスターバースト銀河の身近な縮尺版としても研究されている。爆発的に星形成を行っているスターバースト銀河は、初期宇宙にたくさん存在していたと考えられている。星形成の歴史や宇宙の進化を探る上で、星形成領域やスターバースト銀河の研究は重要だ。