宇宙の暗黒時代の直後に光を発した銀河が見つかった

【2003年1月24日 HubbleSite - News Center

NASAのハッブル宇宙望遠鏡が撮影した写真から、「宇宙の暗黒時代」と呼ばれる宇宙誕生から10億年程度の時期の直後に光を発した銀河が見つかった。

(観測された銀河の写真)

おとめ座の方向の一角を撮影した写真。矢印の先の天体が宇宙で最初に輝き始めた銀河(提供:NASA, H.-J. Yan, R. Windhorst and S. Cohen (Arizona State University))

現在支持されている理論によれば、ビッグバンによって誕生した宇宙は、ビッグバンから30万年ほど経った後に「宇宙の暗黒時代」と呼ばれる時期が10億年ほど続いたと考えられている。この時期には宇宙に大量の水素があり、星や銀河から発せられた紫外線が水素に吸収されてしまうために光を観測することができないのだ。

さらに大量の星が形成され星からの紫外線によって水素が電離してしまうと、電離した水素はそれほど効率よく紫外線を吸収できないため、光が宇宙を伝わってきて観測することができるようになる。宇宙の暗黒時代が終わったということは、同時にそのころに大量の星ができたということでもある。

今回見つかったのは、宇宙の暗黒時代が終わって光が宇宙を伝わるようになったばかりのころに光を発した若い銀河だと考えられいる。言い換えれば、直接観測することができるもっとも遠い銀河だということになる。

研究グループの見積もりによれば、この時代には少なくとも4億個の銀河が存在しているはずだということだ。彼らはまた、現在の観測機器ではそのうちほんの一握りしか観測できないとも述べており、2010年に打ち上げられる予定の次世代宇宙望遠鏡に大きな期待が寄せられている。

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