2001年「しし座流星群」出現概況

【2001年11月22日 国立天文台天文ニュース (497)

すでに速報でお伝えしましたように、11月19日未明、おびただしい数の「しし座流星群」の流星が日本上空に出現しました。大勢の方の観測から、概略の出現状況がわかってきましたので、お知らせします。

(ピーク前後の HR と ZHR のグラフ)

ピーク前後の 10 分ごとの HR と ZHR のグラフ、クリックで拡大(提供:日本流星研究会)

今回の「しし座流星群」は、出現時間帯に月が沈んでいる好条件であった上に、東アジア、オーストラリアなどで比較的好天に恵まれ、広い地域で観測が行われました。全般的な状況から推定すると、もっとも流星出現が盛んだったのは3時20分(日本時)前後で、5分間に230−250個(1時間当たり2800−3000個)程度の流星が観測されました。場所によってはそれを上回る数を観測した報告もあります。東京のように空の明るいところでも5分間に30個以上の流星が見え、明るい火球や流星痕も多く、夜空を見上げていた人々を満足させました。しかし、1999年のヨーロッパ、1966年のアメリカ西部での出現規模には及ばなかったように思われます。日本でこれだけの流星雨が観測されたのはおそらくここ100年はなかったことでしょう。詳細なことはわかりませんが、今回に匹敵する流星雨は、1867年11月13日の「しし座流星雨」、あるいは1862年8月11日の「ペルセウス座流星雨」にまでさかのぼることになろうかと思われます。

オーストラリア、サイディング・スブリング天文台のマクノート(McNaught,R.H)、イギリスのアッシャー(Asher,D.J.)は今回のこの流星雨出現を理論的に予言していました。それにしたがって観測計画が立てられてはいたものの、その理論に疑念を抱くものもあり、現実にこれだけの流星が出ることは必ずしも期待されていませんでした。出現数は予測を多少下回るものでしたが、今回の大出現は、出現のピーク時刻を含めて彼等の理論の正しさを証明したものになり、これにより、マクノート-アッシャー理論は、流星雨出現の予測に対して確かな足場を築いたと考えられます。流星天文学にとって大きな前進といっていいでしょう。

なお、マクノート、アッシャーの論文は、2002年11月19日10時36分(世界時)に、アメリカにおいて、天頂修正数で1時間当たり2万5000個の流星出現を予測しています。ただしこのときは月齢14.6で、満月が一晩中見えますから、観測条件はよくありません。

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