[VLT] 1月31日に発生したガンマ線バーストはこれまでで最遠

【2000年10月19日 ESO Press Release 20/00 (2000.10.17)

ヨーロッパ南天天文台(ESO)の口径8.2メートルの大型望遠鏡「VLT ANTU」が2月8日、ガンマ線バースト「GRB000131」(2000年1月31日に発生)のスペクトルを得ることに成功し、このガンマ線バーストが持つ赤方偏移の値が判明した。計測された赤方偏移の値は4.50で、宇宙年齢が現在の約10%(現在の宇宙年齢が150億歳とすると、15億歳に相当)だったころに起源を持ち、これまでに距離が判明したガンマ線バーストの中では最遠であることがわかった。以前のガンマ線バーストの最遠記録は赤方偏移3.42だった。

ガンマ線バーストとは、宇宙の一点から突然多量のガンマ線が爆発的に放射される現象であり、ビッグバン以後の宇宙でもっとも大規模の爆発現象として知られるが、その正体についてはよくわかっていない。短期間で収束してしまう現象であるため観測は難しい。VLT ANTUがGRB000131のスペクトルを観測した際にはGRB000131の残余光(afterglow)はRバンドでの等級で25.3等とひじょうに淡くなってしまっていたため、3時間もの露光をかけたが、それでもとてもノイズの多い不明瞭なスペクトルしか得られなかった。赤方偏移は、遠方の天体に必ず見られる「ライマン・アルファの森」と呼ばれる吸収線の集合(銀河間水素ガス雲の影響による)を分析するという手法で求められた。