チャンドラX線望遠鏡による画像集

【1999年9月21日 NASA TodayChandra Xray Observatory Center

今年7月、スペースシャトルによって宇宙に運ばれたチャンドラX線望遠鏡による初期観測は順調に行なわれており、これまでに超新星爆発による残骸やクェーサーなどのX線画像が数点公開された。ハッブル宇宙望遠鏡のX線版ともいわれるこの大型X線望遠鏡により、これまでにない高分解能のX線画像が得られている。ギャラリー形式で紹介しよう。


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E0102-72.3
きょしちょう座にある、超新星爆発による残骸。小マゼラン雲の中に位置し、地球からの距離は約19万光年、その広がりは約40光年である。およそ1000年前に爆発したものと考えられている。爆発の際に作られた中性子星が強力な磁気を帯びており、これが高速回転することによって莫大な高エネルギー粒子が生み出されている。リングを形成するたくさんのシェル構造や、リング内のスポーク構造などがわかる。

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G21.5-0.9
たて座にある、超新星爆発による残骸。約4万年前に爆発したとみられる。これまで電波やX線での観測が行なわれ、円形のまだらな斑点状構造が明らかになった。電波は高エネルギーの電子が星の周囲の磁力線に巻き付く際に放出される(シンクロトロン放射)。X線もこれと同様のメカニズムで放出されると考えられるが、電波の場合よりも数千倍も高いエネルギーを持った電子が存在しなければならない。このことから、中心には強力な磁気を帯びた中性子星が隠されていると考えられている。

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PSR0540-69
大マゼラン雲にある、超新星爆発による残骸とパルサー。このパルサーは中性子星であると考えられ、毎秒20回の速さで自転している。地球からの距離は約18万光年。この天体はM1として知られるおうし座のかに星雲といくつかの共通点を持っている。両者とも約1000年前に爆発、中心付近には高速に回転する中性子星が存在し、その周囲には莫大なガスと高エネルギー粒子がとりまいている。中心部の中性子星が高速で回転することにより、そのエネルギーが周囲の強力な磁場を通して外部に伝えられ、高エネルギー粒子を生み出していると考えられる。

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1999年9月1日撮影

N132D

大マゼラン雲にある、超新星爆発による残骸。約1千万度の高温ガスが40光年にわたって広がっている。幾重にもかさなるシェル状の複雑な構造がみられる。今から約3000年前に爆発したと思われる。
可視・電波画像との比較

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1999年8月19日撮影

カシオペア A

カシオペア座にある、超新星爆発による残骸。約320年前に爆発した、比較的若い超新星残骸である。外部に向かって膨張しつづけているこのシェル構造の直径は約10光年、ガスの温度は約5千万度である。
可視・赤外線・電波画像との比較

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1999年8月15日撮影

PKS0637-752

テーブル山座にあるクェーサー。地球からの距離は約6億光年。ひじょうに明るい天体で、私たちの太陽系よりも小さな領域から太陽の10兆倍ものエネルギーを放出している。この驚異的なエネルギーの源は、ひじょうに大きな質量をもつブラックホールであると考えられている。
可視・電波画像との比較


今後、初期プロジェクトとしてチャンドラX線望遠鏡が観測する天体は、以下のように予定されている。今後の観測に期待したい。

・M82(おおぐま座の銀河系外星雲。内部で活発な星形成が行なわれている)
・Coma Cluster(かみのけ座銀河団。距離は約3億光年)
・Hydra A(うみへび座の銀河団。距離は約8億光年)
・Eta Carinae(りゅうこつ座のエータ・カリーナ星雲。全天でも有数の赤外線源)
・Cen A(ケンタウルス座の電波銀河NGC 5128。距離は約1000万光年)
・3C295(距離は約70億光年、もっとも遠い銀河団のひとつ)
・PKS 0312-770(南半球みずへび座のクェーサー)
・NGC 2516(りゅうこつ座にある年齢の若い星たちが集まった星団)
・A754(距離が約8億光年の銀河団)

<ニュースソース>
First Chandra Images

<参考ニュース>
月面着陸30周年の日、X線天文台が宇宙へ
チャンドラの初仕事、「カシオペヤ座A」の観測