グランドクロスについて

【1999年8月12日 国立天文台天文ニュース(282)】

最近、国立天文台には、「グランドクロスはいつですか」、「グランドクロスになると何が起こるのですか」といった質問がひんぱんに寄せられます。 これについて、少し説明しておきます。

グランドクロスとは、天文学で定めた用語ではなく、それについては何の定義もされていません。 ですから、天文台としては、上記の質問に答えようがないのです。 はっきりしたことはわかりませんが、聞くところによると、グランドクロスは占星術で定められたものらしく思われます。 占星術では「おひつじ座」、「おうし座」・・・など、いわゆる黄道十二宮を定めています。 一方、太陽、水星、金星、・・・などの天体は、時期により、十二宮のどこかの星座に属することが決まっています。 そして、グランドクロスは、二つずつ間をおいた四つの星座にこれらの天体のすべてが含まれる状態をいうらしく思われるのです。 たとえば、1999年8月18日には、木星、土星が「おうし座」に、太陽、水星、金星が「やぎ座」に、火星、冥王星が「さそり座」に、天王星、海王星が「みずがめ座」に属する。 これをたとえば北側に遠く離れて太陽系を見たとすれば、各惑星などは地球を中心として十字の方向に配置される形になる。 これをグランドクロスというらしいのです(この説明は、ことによるとぜんぜん間違っているかもしれません)。 たしかに、この時期の惑星の配置を見ると、無理に見れば、十字形に見えないこともありません。

インターネットで探すと、グランドクロスについてさまざまな記事があります。 しかし、いつがグランドクロスであるかについては、いくつもの日付が示されていて、はっきりしません。 上記の8月18日はその中の一例です。 しかし、この日1日だけがその条件を満足するわけではないようです。 惑星の配置は、2日や3日で大きく変わることはありません。

いずれにしても、占星術の計算法は天文学とは違っていますから、天文学でその時期の計算はできませんし、その意味するところもわかりません。 ただ言えるのは、惑星が十字形になろうと、八字形になろうと、直列しようと、地球に何らかの異変が起こることなど、科学的な立場からはまったく考えられないということです。 ノストラダムスの予言と同様に、グランドクロスで何かが起こるというのは、無意味な迷信にすぎません。 一部のマスメディアがこのグランドクロスを取り上げたことで、国立天文台は多大の迷惑をこうむっています。