Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

星ナビ2023年3月号掲載
宇宙の「謎」を解け!「どうして」なのか

あなたにとって“宇宙の魅力”は何だろうか。「美しい星空を見たときの感動」「手の届かない所にロケットを飛ばして近づく興奮」など人によって様々だと思うが、その中の一つに「謎が多いこと」もあるはずだ。「宇宙の果てはどうなっているか」のように誰でも一度は考える疑問から「ダークマターの正体」など専門的な研究テーマまで、宇宙は私たちに多くの“謎”を与え、知りたいという“探究心”を起こさせる。

まずは、『宇宙はなぜ美しいのか』から考えてみよう。夜空で無数に輝く恒星、探査機が撮影した惑星の詳細な表面、宇宙望遠鏡が観測した星雲の淡い光、重力レンズ効果によってゆがんだ銀河の姿など、美しくて魅力的なものは多い。加えて本書は「物理学者にとって宇宙の『美しさ』とは何か」を教えてくれる。古代ギリシャの時代から科学者たちは「秩序、対称性、限界を表に出す。これらは美の最大の形」(アリストテレス)とか、「宇宙の原理は美しく簡潔なはず」(アインシュタイン)とか、「基礎物理学では美しい、またはエレガントな理論は、そうでない理論と比べて正しい可能性が高い」(マレー・ゲルマン)と語ってきた。この本でも「高い対称性」「簡潔さ」「自然な安定感」という観点から、物理学者の視点による美しさをひもといていく。カラー写真だけでなく二次元コードを掲載してオンラインコンテンツで動画や音声を楽しめる編集者のアイディアも、各種メディアで人気の著者の本らしくて面白い。

『宇宙はなぜ物質でできているのか』では、副題にあるようにKEK(高エネルギー加速器研究機構)が扱う高エネルギー物理学の視点から素粒子の世界を解説する。先述の書籍でも「対称性の破れ」について紹介しているが、この本では「CP対称性の破れ」について詳しく書いている。2021年に亡くなった益川敏英氏とともにノーベル物理学賞を受賞した著者が中心になり、研究現場の最先端を見せてくれる。

次は『太陽系の謎を解く』ことにしよう。本誌愛読者ならきっと見たことがあるテレビ番組『コズミックフロント』(および『コズミックフロント☆NEXT』)で放送した中から、太陽系に関する9本の内容を元に最新の研究・知見を加えて書き下ろした読み物。実は私、番組の取材班に同行した経験があり、彼らが多くの研究者を訪ね直接コメントを取材している現場を見ている。この本にもたくさんの研究者のコメントが登場し、番組を視聴しているときの興奮がよみがえる。「まだまだ太陽系にも新しい発見がある!」とワクワクさせてくれる一冊。

太陽系から視野を広げて『宇宙はどのような姿をしているのか』見てみよう。本誌で記事を連載している(と書籍カバーそで部分のプロフィールにしっかり明記されている)著者が、カルチャーセンターで講義した内容をベースに、宇宙の全体像を紹介していく。地球からの空間を縦糸にして、徐々に時間と距離を広げていくので、理解しやすく読みやすい。「一家に1枚宇宙図」作成に携わった著者ならではの、「広い宇宙の中の私たち」「宇宙の長い歴史の中の私たち」を実感してほしいというテーマが伝わってくる。

『ブラックホール』という「宇宙最大の謎はどこまで解明されたか(副題)」を専門家が解説するのが次の一冊。前半では「ブラックホールとは何か」「ブラックホールの発見と観測」を紹介。後半では「ワームホール、タイムマシン」というキーワードとともにブラックホールの内部に迫り、最終章で「ブラックホールは幻か」と題してブラックホールのエントロピーやパラドックスなどの最新宇宙論に迫る。著者の言葉を借りると現在はまだ「群盲象を評す」状態だが、遠くない将来ブラックホールの真の姿が見えてくることを筆者も期待している。

(紹介:原智子)