Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

星ナビ2020年6月号掲載
夜の風景を写真におさめる

外出自粛が続く日々、自宅で過ごす時間が増えている。そんな在宅生活を退屈だと嘆くだけでなく、この機会に新たな挑戦として「本格的な天体撮影を始める」というのはいかがだろう。部屋でカメラの基本操作を知り、自宅の庭やベランダで、月や惑星を撮影してみる。そして「この感染症が終息したら郊外の暗い場所に出かけて、星雲・星団や銀河の撮影にチャレンジしよう」という目標を励みに、ゆっくりマスターすればいいのだ。

まずは『星空写真の写しかた』 で、カメラや道具の選び方、星空の撮影の仕方の基本を学ぼう。一眼レフやミラーレスのカメラだけでなく、スマートフォンやコンパクトカメラでの撮影方法も紹介しているので、親子でいっしょに挑戦できそうだ。

星ナビ編集部では目的別に『天体写真撮影テクニック』を三部シリーズで出している。第一弾はカメラと三脚だけで撮影する『星景写真撮影術[改訂版]』 、第二弾は赤道儀を使って天体を追尾する『星空写真撮影術[改訂版]』 、第三弾は夜景とともに星空を撮影する『都市星景撮影術』 。順にマスターすれば、どんな場所でも星の撮影が楽しめる。とっておきの一枚が撮れたら、ぜひ本誌「ギャラリー」に投稿しよう。

『驚異!デジカメだけで月のクレーターや木星の大赤斑が撮れる』 は「ニコンCOOLPIX P1000天体撮影テクニック」という副題どおり、この機種に特化した解説書。2015年11月号で紹介した『驚異!デジカメだけで月面や土星の輪が撮れる ニコンCOOLPIX P900天体撮影テクニック』RAW のアップデート版である。カメラ性能は、望遠側の画角が3000mm相当まで伸び、RAW形式の記録が可能になり、4Kの動画撮影ができ、マニュアルフォーカスの操作性が向上した。この能力を存分に活用しよう。

次の2冊は、夕方から夜の風景を印象的に撮影するテクニックを教えるハウツー本。『ナイト・ネイチャーフォト』 は月・星・天の川・蛍などを写した作例を掲載し、その撮影ポイントを具体的に教えてくれる。指示された項目に注意して練習を重ねれば、だんだんコツがつかめるようになるだろう。あとは、イメージ通りの作品が撮れるまで実践を重ねよう。

『夕景・夜景写真の撮り方』 も日没(日の出)前後や夜の風景など、薄暗い屋外での撮影方法を教えてくれる。紹介するのは天体だけでなく、イルミネーションや花火、夜景と人物など、広いテーマを扱っている。絞りやシャッター速度などの数値を変えて撮影したテスト画像が載っているので、視覚的に比較できてわかりやすい。

自宅の庭やベランダで練習を積んだら、やっぱり絶景を撮りに行きたくなる。すぐには難しいかもしれないが、『成澤広幸の星空撮影地105選』 を参考にして遠征計画を立てるだけでも楽しい。著者が撮影した作品とコンテスト入賞作品から選りすぐりのスポットが掲載されており、見るだけでも撮影アイデアの参考になる。この本でしっかり呼び掛けているのが、「撮影地でのマナーを知り、守る」こと。撮影技術と合わせて、撮影マナーも学ぼう。

(紹介:原智子)