メシエ天体ガイドはじめに

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澄みきった夜空を彩る光の宝石。はるかな宇宙に広がる無数の星は、日々の喧噪に一服の清涼を私たちに与えてくれます。特に、頭上を跨り南と北の地平線を結び天空を二分するひときわ明るい光の帯、天の川は壮大な真夏の夜の一大パノラマと言えるでしょう。

ご存知のとおり、この天の川は私たちの太陽系が所属する渦巻き型をした銀河系の腕の部分にある星の集まりです。よく見てみると、天の川のまわりや夜空の所々に天の川と同じような淡い光のしみのようなものがあることに気づきます。あるものは大きく広がり、あるものは小さく固まって見えます。このような光のしみの正体は何でしょうか?

これらは、小さな星の集団であったり、ガスの塊だったりします。有名な「すばる」は120個ほどの星の集団で、肉眼でも7〜8個の星を見ることができます。こうした星の集団を星団といいます。

秋の星座であるアンドロメダ座にも、大きな光のしみが見られます。これも有名な「アンドロメダ大星雲(大銀河)」です。これは、私たちの銀河系の隣にある別の銀河で、数千万個の星が渦を巻いている姿です。このようなものを星雲といいます(一般には星雲と呼んでいますが、次に述べるガスの塊と区別するために銀河あるいは系外銀河といいます)。

また、冬の代表的な星座であるオリオン座の三つ星のすぐ南にある光のしみは、宇宙空間に広がるガスが近くの星の光を受けて光っているのです。こうしたガスの塊を星雲といいます。

このように、夜空にはたくさんの星雲、星団、銀河が見えています。

このガイドは、初心者にも比較的見やすい、明るい星雲星団のカタログである「メシエ天体カタログ」にそって、白河天体観測所の撮影した美しい写真と、各天体の探し方、観望機材(双眼鏡、口径10cm望遠鏡、口径20cm望遠鏡)ごとの見え方を解説した、「メシエ天体ガイド−PC-9801で見る星雲星団の世界−」(アスキー出版局刊)をもとにHTML化したものです。

  • 1998年1月
  • 根本 泰人/大熊 正美/アストロアーツ
  • 2014年 加筆修正
  • 廣瀬 匠/アストロアーツ
    参照:SEDS メシエカタログページ、理科年表(丸善)