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【特集】2008年8月17日 部分月食

お盆休みの日曜日の未明に、日本では1年ぶりの月食が見られます。ただし、今回は月が完全に地球の本影に入りこむのではなく、最大で8割が隠される部分月食です。

一番条件のよい沖縄でも食が最大になる直前に月が沈んでしまい、北東の地方ほど月が欠け始めてから沈むまでの時間が短くなってしまいます。薄明の中、西の低空での現象となるでしょう。

見え方

太陽に照らされる地球の後方(太陽の反対側)には、長い影が伸びています。この影には、太陽の光が地球に完全にさえぎられる「本影」と、一部が届く「半影」の2種類があります。地上から見ると、ちょうど太陽から180°のところに本影と半影が二重円になって位置しています。そして月が入りこんで初めて、その存在がわかるのです。

今回の月食は、図のように月の一部だけが本影に入りこむ「部分月食」です。本影に隠された部分はとても暗くなるのですぐにわかりますが、半影に隠されているだけの部分は、写真撮影をして初めてわかるほどの変化しかしません。月食は月が地球の影を通過する現象なので、どこで見ても月の欠け具合と時刻は同じです。

一方、月が沈む時間や太陽が昇る時間は観測地ごとに異なり、月が欠けていくようすをどこまで観察できるかにかかわってきます。

月食のようす。半影、本影、そして月の位置を示した

図のように、一番月没時刻が遅い沖縄では、食が最大となる直前に月が沈みます。一方、一番早い北海道では、月が本影に入りこむのと地平線に沈むのとがほぼ同時です。北海道東部では、半影食しか見ることができません。

東京と那覇での見え方

各現象のタイムテーブル、月の高度

現象の時刻と各地の月の高度などは以下のとおりです。

現象時刻 札幌仙台東京京都福岡那覇
半影食の始め3:23.1 11.9゚ 14.8゚16.9゚20.0゚24.4゚30.9゚
欠け始め4:35.7 0.92.74.47.612.2゚4.5゚
現象 札幌仙台東京京都福岡那覇
月没時刻 4:444:545:035:215:456:06
月没時の食分 0.110.240.350.540.740.81

観察と撮影

部分月食が見られる地域でも、月の高度はとても低くなっています。西の空が地平線すれすれまで見通せるところで観察しましょう。

また、月食の進行とともに月が西に沈んでいくだけでなく、東の空からは太陽が昇ってきます。空が明るくなれば月はそれだけ見にくくなるので、今回の月食はまさに時間との戦いです。

月食のようすを写真に撮るのもおすすめです。部分月食の場合は、肉眼ではただ暗くなっただけに見えた部分もほんのりと赤く輝いていることがわかります。これは、地球の大気層を通過した赤い光が月面をわずかに照らすためです。また、肉眼ではわからない半影による食も、写真撮影なら違いが見えます。

月を撮影するには、三脚とデジタルカメラがあればじゅうぶんです。オート露出機能しかないコンパクトデジカメでも、薄明があるため月と地上の景色をいっしょに写すことができます。また、ほとんどのデジカメについている「遠景モード」を使えば、オートフォーカスでもピントのあった写真が撮れます。