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星ナビ機材セレクション

「スカイポッド VMC110L」

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「スカイポッド経緯台単体」

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星ナビ 2006年8月号

レポート/川村 晶

2006年8月22日

液晶星図を見ながらゲーム感覚で自動導入

「ビクセン スカイポッドVMC110L」

ビクセンから経緯台式自動導入望遠鏡の「スカイポッドシリーズ」が登場した。デスクトップ脚もラインアップに加えるコンパクトな架台である。今回は、同時に発売となった口径110mmのVMC110Lを搭載したデスクトップ脚仕様のスカイポッドVMC110Lを試用してみた。

スカイポッド+VMC110L 全体像

ビクセン初の自動導入経緯台

昨年春のフォトイメージングエキスポで、参考出品されていたビクセンの自動導入経緯台「スカイポッド」が発売になった。

外観は、鏡筒の取り付け部分を水平軸の真上から外側に大きくオフセットさせた独特なデザインである。鏡筒は、光軸と垂直軸を直交させる位置関係で取り付けられている。

搭載する鏡筒が重い場合には、鏡筒を取り付けている側と反対側の垂直軸端にバランスウェイトが必要になる形式で、ドイツ式赤道儀の極軸を真上に向けて経緯台としたスタイルであると考えると理解しやすいだろう。

こうしたスタイルの経緯台はめずらしいものではないが、スカイポッドの場合、内部の構造的には水平軸の真上からはずれた位置にフォークアームが一本立ち、そこに垂直軸が設けられている。これで水平軸の真上に鏡筒を取り付ければ、ごく普通の片持ちフォーク式となる。しかし、スカイポッドはフォークアームの水平軸側ではなく、その反対側に鏡筒が取り付けられるので、あえて名前を付けるとするなら「アウトサイドオフセット型片持ちフォーク式」とでも言えるものだ。

この形式の最大の利点は、鏡筒の径はもちろん、長さの制限も緩和されることにある。一般的な2本アームのフォーク式では、フォークアーム間の距離より大きな径の鏡筒は搭載不可能。また、片持ちフォーク式でも、鏡筒を取り付けて垂直軸を回転させた時に、フォークアームの付け根のハウジングに干渉してしまうほど長い鏡筒では、天頂付近に鏡筒の向かない死角ができてしまう。

しかしスカイポッドでは、長大な鏡筒でも、水平軸部分のハウジングと鏡筒が干渉することはない。しかも、鏡筒の取り付け方式をビクセン規格のアリミゾ・アリガタとすることで、架台そのものに改造を加えることなく、目的に応じた鏡筒を自由に選択して搭載することができる。もちろん、水平軸の下の三脚に鏡筒がぶつかる可能性もあるが、ハーフピラーを併用することで、よほど長い鏡筒でないかぎり三脚仕様でも問題なく使用可能だ。

こうしたハードウェア的な特徴に加え、スカイポッドはビクセン初の自動導入経緯台で、コントローラーとしてSTAR BOOK-TypeSが標準装備品となる。STAR BOOK-TypeSは、星図の表示も可能なモノクロ液晶画面を装備するもので、スフィンクス赤道儀に標準付属されているSTAR BOOKと一部互換性を持つ。STAR BOOK-TypeSは、ケーブルを延ばして手持ちでの使用もできるが、スカイポッド本体に格納場所もあり、スカイポッドと一体で使用することもできる。

さらに、電源となる電池やケーブル類も内部に収納でき、秀逸なオールインワンの経緯台といえるだろう。