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星ナビ機材セレクション

「ケンコー NEW KDS 63-540」

アストロアーツオンラインショップ特価 78,750円(税込)

「ケンコー NEW KDS 63-800」

アストロアーツオンラインショップ特価 68,250円(税込)

星ナビ 2006年7月号

レポート/川村 晶

2006年7月10日

眼視重視アクロマートのお手軽経緯台式屈折望遠鏡

ケンコー ニューKDSシリーズ「NEW KDS 63-540/63-800」

ケンコーから、小型経緯台式アクロマート屈折望遠鏡のNEW KDSシリーズ2機種が発売となる。いずれも対物レンズの口径は63mmで、焦点距離が540mmのNEW KDS 63-540と、焦点距離が800mmのNEW KDS 63-800である。両機種ともレンズは眼視観望を重視した最新設計で、直進ヘリコイド式の接眼部を持つ。

架台はフリーストップながら、ウォームホイルによる両軸全周微動も備えたコンパクトな経緯台で、アルミの2段伸縮式三脚が標準で付属。

いずれもファインダーとアイピース2本が付属したオールインワンパックで、購入すればすぐに使えるセットでの販売だ。レンズの仕様や架台の形態からも、どちらかといえば天体望遠鏡初心者向きの機種といえる。

汎用性もある小型経緯台

ニューKDS 全体像 経緯台

昨年、自動導入赤道儀式望遠鏡のスカイエクスプローラーシリーズを発売し、天体望遠鏡市場への本格的な再参入の意欲を見せたケンコーから、今度は経緯台式屈折望遠鏡セットのNEW KDSシリーズが発売になる。

セットとして搭載される鏡筒は2種類で、口径63mm、焦点距離540mm(F8.6)のNEW KDS 63-540(以下、63-540鏡筒と記す)と、口径63mm、焦点距離800mm(F12.7)のNEW KDS 63-800(以下、63-800鏡筒と記す)がある。組上がった望遠鏡一式の外観は、やや細身の屈折望遠鏡を全高165mmほどのコンパクトな経緯台に載せたもので、比較的初心者向けと思えるスタイルとサイズだ。

経緯台の形式は、片持ちフォーク式とシーソー式を合わせたような片持ちシーソー式ともいえるような形態である。シーソー式は、望遠鏡の光軸が垂直軸よりも高い位置にある。そのため、フォークアームにあたる垂直軸を支える部分が水平軸から直立するタイプではあるものの、三脚との干渉を避ければ、鏡筒を天頂まで向けることが可能だ。ただし、このタイプの経緯台は、鏡筒の仰角によってバランスが崩れることになる。

微動は、水平・垂直軸ともにウォームホイルを採用した全周微動で、両軸ともに同じユニットが使用されている。粗動はフリークランプ方式で、試用機ではフリクションも適度に調整されていた。両軸ともにロックネジのようなハンドルがあるが、ゆるめてもフリークランプの堅さはほとんど変わらない。特に垂直軸はややきつめにフリクションが調整されているので、多少の増しじめ程度の調整ができるだけと考えた方がよい。

微動ハンドルは、直接ウォームギアの一端に比較的小さなものが取り付けられている。実際に操作してみたが、回転はなめらかである。しかし、焦点距離の長い=鏡筒長の長い63-800鏡筒では、アイピースを覗きながらの操作時に、長めのフレキシブルハンドルがほしいところだ。

鏡筒の脱着機構には、アリミゾ・アリガタを採用している。アリミゾ式ヘッドが垂直軸にあるので、ハンドル付きのネジを回すだけで鏡筒の脱着が可能だ。このヘッド部分は、垂直軸から伸びる逆L字型の金具に下方からM8の六角穴付きネジで固定されているだけで、六角レンチ一本で取りはずすことができる。アリミゾ式ヘッドを外すと平らな面が露出する。ここにカメラやフィールドスコープなどを直接取り付けることも可能で、ハンドル付きの1/4インチネジも標準で付属する。

三脚へは、三脚アダプターともいえるスペーサを介して三脚架頭部に取り付ける。三脚は、アルミ製の2段伸縮式の比較的しっかりとした三脚が標準で付属する。

ちなみに、ケンコーの望遠鏡ラインアップには、過去にKDSシリーズという経緯台式の天体望遠鏡セットが数年にわたって販売されていた。このKDSシリーズに対しての「NEW KDS」なのだが、経緯台式の比較的初心者向けというコンセプトは同じながらも、デザインはかなり異なる印象を受ける。


NEW KDS経緯台の構成パーツ一式 組み立ての様子

(左)NEW KDS経緯台の構成パーツ一式。経緯台本体は、手のひらに乗ってしまう程度の大きさである。経緯台の底面には1/4インチのネジ穴が切ってあり、三脚架頭部にはアルミ製のアダプターを介して取り付ける。経緯台を単体でカメラ三脚にも取り付けることが可能で、さらに鏡筒を取り付けるためのアリミゾヘッドを外して、望遠レンズ付きのカメラやスポッティングスコープなどを取り付ければ、微動付きの雲台として利用することもできる。三脚は、プラスチック製の開き止めと丸いアクセサリートレイが付いたもの。赤道儀用三脚の流用のようで、赤道儀の方位調整用の押し引きネジを当てる突起が架頭部にある。ちなみに、現在はセット販売のみだが、ケンコーでは経緯台のみや鏡筒単体での販売も検討されているという。同時に、長いフレキシブルハンドルの供給も検討中とのこと。

(右)鏡筒は、鏡筒バンドを介してアリガタプレートに取り付け、さらに経緯台上部のアリミゾへ固定する。アリガタプレートの固定は、ハンドル付きのネジで行う。鏡筒バンドは、上下2分割式のものが2式一組で標準付属している。鏡筒径は81mmとめずらしいサイズ。