Contellation NIPPON KAKEHASHI Project つなげよう日本 子供達の未来を守るために

アストロアーツでは東日本大震災で被災された方や支援観望会の実施団体に「ミニ星座早見工作セット」を無償配布しており、観望会などで活用いただきました。

このセットを利用された観望会や科学イベントのレポートをお送りいただきましたので、掲載して紹介します。

6月11/12日 岩手県大槌町 サイエンスキャラバン311

レポート:「天文学とプラネタリウム」
星ナビ2011年8月号に掲載

津波で大きな被害を受けた岩手県大槌町へ出かけてきました。高台にあったため津波の難を逃れ、現在は避難所となっている城山中央公民館と安渡小学校が会場でした。前回同様、被災地での活動を志す科学ボランティアグループの連携組織「サイエンスキャラバン311(SC311)」に参加しての活動です。

ちょうど地震から3か月のその時間、大槌町を眼下に見渡せる城山中央公民館の前で1分間の黙祷をささげたのち、太陽投影板を装着した望遠鏡を展開してまずは太陽の観察。残念ながら目立つ黒点はありませんでしたが、望遠鏡自体の構造に興味を持つ子もいました。「アストロアーツ かけはしプロジェクト」からご提供いただいた星座早見工作セットも大活躍。日時の合わせ方を教えてあげると、子どもたちは当日の夜空に自分の誕生星座を見つけて大喜び。他にも磁石の実験や昆虫採集など、中高の先生や大学教員などをそろえるSC311ならではの多彩な活動が展開できました。

暗くなってからは屈折望遠鏡と双眼望遠鏡を並べて月と土星の観望。雲が取れない天気でしたが、雲間からのぞく土星の姿には「かわいい!」という声が上がります。また公民館入り口横の壁に宇宙ビューワMitakaや天体写真をプロジェクタで投影し、太陽系旅行や不思議な天体たちの姿を楽しんでいただきました。宇宙の図鑑でブラックホールに興味津々の女の子は、中心にブラックホールがあると言われる銀河の写真をみて大はしゃぎ。壁に投影した銀河の画像の隣に並んで記念撮影し、後日写真を送ることにしました。

次の日。20mほど坂を下れば家屋が完全に津波に流されてしまっている場所にある安渡小学校では250名ほどの方が避難生活を送っており、校庭では仮設住宅の建設が進んでいました。こちらでも校舎の入り口、炊き出し隊の横に机を並べて実験教室。天プラではその隣に太陽観察望遠鏡とブラックホール模型を設置しました。このブラックホール模型は国立天文台の公開日に使われているもので、すり鉢状のランプシェードをひっくり返したものにビー玉を放り込むと、その傾斜に沿って回りながら中心に落ちていくというものです。ビー玉を入れる方向や速度によって様々な落ち方を見せ、また音を立ててビー玉が回るため子どもの関心もひきやすい実験です。何度も何度も試してお母さんやおばあさんにもやってみるようにと勧める子もいて、楽しんでいただけたようでした。

2日間の活動で確信できたことは、被災地でも天文の話題や天体観望会で多くの方に楽しんでいただけるということ。なにより元気に歓声を上げたり質問を投げかけたりしてくれる子どもたちの存在に私たち自身が勇気づけられました。

一方で難しいと感じるのは、そのような楽しみの共有よりも一歩踏み込んだ活動がどこまでできるのかということ。もちろん楽しみや学びの機会の提供はとても大事です。とはいえ、自然を相手にする天文学の周囲にいる私たちが、自然の猛威にさらされて苦しんでおられる方々と何ができるのか。科学を修めた私たちが科学の手の届かない自然災害を眼前にして何ができるのか。考えることは多いですが、これまでの天プラの活動と同様実践の中から何かヒントが得られないものかと、これからも模索を続けます。

6月28日 福島県郡山市

レポート:天野章弘さん
星ナビ2011年11月号に掲載

私は、福島県郡山市在住で、星空案内人の資格を取得し郡山市を中心としてボランティア活動をしています。

先月、御社に、この度の東日本大震災及び原発トラブルによる避難者へ「星の宅配便」なる星空案内を開催する企画を認めていただき、「ミニ星座早見工作キット」の無償提供を受けました。これを活用し、「星の宅配便」を開催したところ、子どもから大人まで、大変作りやすく有効活用ができると評判でした。

日時
6月28 日 午後7時から8時まで
場所
福島県郡山市熱海町にある磐梯熱海温泉の某ホテル会議室
参加者
約50名(福島県浜通の原発近くの避難者)
実施内容
  • 「ミニ星座早見工作キット」の作成
  • 夏の星座の見つけ方
  • 夏の大三角形とそのそれぞれの星座の構成とギリシャ神話
  • 天の川の解説と「七夕物語」の朗読など

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この開催日には、磐梯熱海温泉には298名(原発トラブル直後からおり、最大時は524名)の避難者がおり、開催ホテルには77名の方がいましたが、その大半の方々が参加してくれました。終了時には、皆さんから温かい感謝の拍手があり、返って押し売りの「星の宅配便」に恐縮しました。さらに、終了後には「浜の自宅から四角い星座が見えるんだけど、何座ですか?」とか、「子供のために天体望遠鏡を購入したいんだけど、どういうのがいいの?」などの質問が続き、楽しんでいただき、天体に興味を持ってくれたんだと確信しました。

磐梯熱海温泉の避難者(温泉やホテルに避難し宿泊している二次避難者)は、今月7月中には仮設住宅に移転し、また、新たな地での生活が始まります。子どもも転校など苦労が続きます。

長引く避難生活には、各方面から物心両面の支援がありますが、むしろこれからは、このような文化的な支援がより必要となると思われます。仮の住居でも、少しずつ生活にゆとりを取り戻し、元気を取り戻し、それぞれの目的を持ち、生計をたてるために働かなくてはなりません。その元気の源になるように、今後も、このような活動を続けていきたいと思っております。

8月4/5日 岩手県大船渡市 東葛星見隊「星空たんけん」

レポート:内藤峰夫さん
星ナビ2011年11月号に掲載

被災地(大船渡市)への天体観望キャラバン計画が実行できましたので報告します。千葉県東葛地方で天文普及活動をしている「東葛星見隊」代表の岸野氏と私の二名で実行しました。

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【8月4日】大船渡市末崎町ふるさとセンター(隣接の野球場と中学校に仮設住宅およそ100戸)にて14時より太陽観望会を実施。SolerMax60とTSA102、FS102双眼望遠鏡を使って、太陽黒点とプロミネンスを観察してもらいました。数十名の小中学生・地域住民の方々が観望を楽しみました。その後、ふるさとセンター大広間で望遠鏡工作教室を開きました。60名の小学生が夢中で望遠鏡を作りました。児童たちは完成した望遠鏡を覗いて歓声を上げていました。夕食休憩後18時より同じ会場で天文教室をしました。子どもたちは積極的で礼儀正しく好奇心旺盛です。クイズや質問にも元気良く、はきはきと答えてくれました。19時からの天体観望会は、折から雲が去来して、肝心の土星や月は見ることが出来ませんでしたが、時折見えるミザールやベガなどを見ては「凄い!」「きれい!」の声が聞こえました。また、晴れるまでの余興に、天文シミュレーションソフトを利用して望遠鏡への天体導入シミュレーションを体験してもらったところ、意外と大好評でした。やはり現代っ子です。21時過ぎまで天気の回復を待ちましたが、晴れる気配が無いのでお開きとしました。

【8月5日】大船渡市内の児童養護施設「大洋学園」で18時30分より天文教室、19時より観望会を実施しました。前日にも増して雲が厚く、天文教室だけしか実施できませんでした。尚両日とも、岩手大学天文部OBの越河氏、阿部氏のお二人(8月号の陸前高田市観望会の紹介記事に載った方)に応援していただきました。ありがとうございました。今回は天気に恵まれず、目的の半分しか達成できませんでしたが、被災地の子どもたちに確かに夢を届けることは出来たと自負しています。また、天体望遠鏡組み立てキットの半分は自前で用意しましたが、残り半分は三人の天文愛好家(鈴木氏、米山氏、立川氏)からの寄贈です。ありがとうございました。最大の目的が達成できませんでしたので、冬が来る前にまた同じ場所で子どもたちに再会しようと心に誓って帰還しました。