木星の大赤斑がさらに縮小、形・色にも変化
ハッブル宇宙望遠鏡による観測画像から、木星の大赤斑が縮小し丸くなってきているという数年にわたり続いている変化が確認された。大赤斑の長軸は2014年に比べて240km短くなっている。
【2015年10月20日 HubbleSite】
大赤斑の縮小はここしばらく速い割合で進んできたが、最近の変化は長期的な傾向と一致しているという。大赤斑の色は赤というよりもオレンジ色に近く、いつもは色が濃い中心部分にはっきりとした違いが見られない。
2015年1月19日にハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された木星の地図。ほぼ連続した2自転分のデータから作成。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, A. Simon (GSFC), M. Wong (UC Berkeley), and G. Orton (JPL-Caltech))
大赤斑には、その渦の幅ほぼ全体に及ぶ、普段は見られない細いフィラメント状の特徴が現れている。10時間(木星の自転周期分)の間にフィラメントには回転やねじれが見られ、秒速150m以上の暴風の影響で形が変わっている。
大赤斑に見られるフィラメント(出典:論文より)
さらに木星の北赤道縞では、謎のかすかな波が見つかった。これは数十年前に一度だけボイジャー2号によって観測されたものだ。波は北緯16度付近の低気圧と高気圧が点在する領域にあり、非常に見えにくい。似たような波は、地球では「傾圧波」と呼ばれ、低気圧が形成される際に大気中に時々現れる。波は雲の下で発生したとみられ、上層に伝わってきたときだけ見えるようになると考えられている。