ビーナスエクスプレスが通信不安定に 燃料切れか
8年間金星を周回軌道から観測してきた欧州の探査機「ビーナスエクスプレス」の通信が11月末から不安定になっている。推進剤が尽きたとみられ、早ければ来年1月中旬に金星大気に突入する見込みという。
【2014年12月15日 ヨーロッパ宇宙機関】
運用の最終段階にあるヨーロッパ宇宙機関(ESA)の金星探査機「ビーナスエクスプレス」が、11月末から通信不安定となっている。
2005年に打ち上げられ2006年から観測を続けてきたビーナスエクスプレスは推進剤が残り少なくなり、11月末に最後の軌道上昇を試みていた。来年も科学観測を続行できる可能性に賭け「だめでもともと」でのエンジン噴射実施だったが、11月28日から断続的な通信しか行えなくなってしまった。取得したテレメトリデータ(主に機体の状況などの情報)から、同機は太陽に電池パネルを向けて回転する「セーフモード」に入っていることが判明している。運用チームではさらに履歴データを取得して発生要因を特定しようと試みているが、どうやら推進剤がほぼ尽きてしまったのが原因のようだ。
米惑星協会のブログでは、探査機チームのHåkan SvedhemさんのEメールを引用して「このままなら来年1月中旬ごろに金星大気に突入する」との見込みを伝えている。
8年間金星を探査してきた「ビーナスエクスプレス」(CG図提供:AOES Medialab)
探査機の位置と航路
天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」では、「ビーナスエクスプレス」など主な探査機の設定日時における位置や航路を表示することができます。