月刊ほんナビ 2026年1月号
📕 「冬の夜に、宇宙のページを開く」
紹介:原智子(星ナビ2026年1月号掲載)
冬の星座は明るい1等星が多く、夜空も冴えて、星空観察が楽しい季節。一方で、降雪地や寒冷地では、野外で長時間過ごすことが厳しい。そんなときは、部屋で本格的に勉強をするのはいかが。今月は、さまざまな角度から天文学を学ぶ教科書を紹介する。
『教養のための宇宙学入門』は、宇宙科学の基礎と最新の話題をコンパクトに解説した入門書。「文系学生向けの教科書」として、テーマをしぼり数式を極力使わずに書かれている。第1部は「昔の宇宙」(宇宙の歴史・宇宙の進化)。第2部は「身近な宇宙」(太陽と太陽系天体・系外惑星と惑星形成・太陽系の宇宙探査)。第3部は「極限の宇宙」(コンパクト天体・ブラックホール入門・高エネルギー天体現象)。もっと深く学びたくなったら、同じ著者の『ファーストステップ 宇宙の物理』へ進もう。
『銀河天文学入門(上)(下)』は、銀河天文学における著名な外国人研究者2人が著したテキストの邦訳。上巻では星と銀河系から銀河群まで、下巻はさまざまな銀河、ブラックホール、宇宙論をあつかう。原著は、アメリカ天文学会が優れた著作に与えるシャンブリス賞を受賞している。
次は、シリーズ化されている教科書から2冊。まずは「新天文学ライブラリー」第8巻の『ダークマター』。謎の物質ダークマターは、宇宙にとって重要な役割を果たすことから、宇宙物理学・宇宙論・素粒子論の分野で高い関心を集めている。この本では、ダークマターについて基礎から正体に至るまでを探る。さまざまに考えられる正体の中から、素粒子的なダークマター候補として、「アクシオン」と「WIMP(弱い相互作用しかしない質量を持った粒子)」を中心に取り上げている。
「シリーズ現代の天文学」の第7巻『恒星[第2版]』は、2009年に発刊された第1版から時を経て、最新情報を盛り込んだ充実した内容に改訂された。新しい観測衛星や望遠鏡による発見、最新の恒星進化モデル、連星系・超新星研究の知見が加わった。学習者が恒星の基礎から最前線までを体系的に学ぶことのできるアップデート版。
『宇宙のアノマリーはどこまで判明したのか』は、イギリス人科学者が素粒子物理学におけるアノマリー(異常)についてわかりやすく、かつ面白くまとめた読み物。アノマリーとは標準モデルの予測と一致しない実験結果のことで、これは標準モデルを超えた未知の粒子や力が存在する可能性を示すことになる。試行錯誤を重ねる研究者たちの姿がリアルに描かれている。
『並行宇宙は実在するか』は、「WEBみすず」に連載された記事を加筆して書籍化した読み物。“並行宇宙”と聞くとSF小説に登場する「パラレルワールド」を思い浮かべそうだが、ここであつかっているのは“多元宇宙”、つまりマルチバースだ。科学記者である著者が、「微調整問題」や「高次元空間」といった宇宙論の謎に対する仮説を論じていく。巻末には、WEB連載時から監修を行ったマルチバース宇宙論の研究者による「解説」が掲載され、「さらに学びたい読者のためのブックガイド」も紹介。
一方、『月と地球の進化論』は科学雑誌のアメリカ人記者が月をテーマに著した初著書。月の進化や地質学から、人類の進化や文化・環境への影響まで、さまざまな情報を提示しながら論じていく。月が地上の生命にどんな影響を与えてきたか、科学と文化史を融合させながら、月の役割を説く。ジャーナリストならではの取材力を生かした文章と、ときには文学的な表現が新鮮でもある。





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