ライトブリッジが引き起こす、黒点形成時の爆発やジェット
【2015年10月6日 国立天文台】
太陽の表面に見られる黒点は、ときに大規模な爆発現象(太陽フレア)を起こすことがあり地球環境にも多大な影響を与えうるが、その形成・成長時に磁場がどのような働きをするかについては謎が多い。
複数の小さな黒点が合体して大きな黒点に成長する際、それらの間に「ライトブリッジ」と呼ばれる明るく細長い構造が現れ、太陽表面より上空には爆発現象やジェット噴出が繰り返し発生することがある。国立天文台の鳥海森(とりうみ しん)さんたちの国際研究チームは、観測とシミュレーションにより、「どのように小黒点が合体して黒点が作られるのか」「なぜ小黒点の間で爆発やジェットが起こるのか」という謎に迫った。
日本の太陽観測衛星「ひので」による高精度の太陽表面磁場観測から、接近する2つの小黒点に垂直に立った強い磁場が存在し、間に挟まれたライトブリッジには水平な弱い磁場が存在していることがわかった。またNASAの太陽観測衛星「IRIS」によるライトブリッジの上空観測データからは、突発的な爆発やジェット噴出が「磁気リコネクション」(磁力線のつなぎ替え)により繰り返し発生していることがわかった。
((左)「ひので」による形成中の黒点の観測。合体しつつある小黒点(暗い部分)の間にライトブリッジが現れている。(右)黒点形成シミュレーションの結果。観測とよく似たライトブリッジが小黒点の間に形成されている(提供:国立天文台/JAXA/LMSAL/NASA)
さらに、スーパーコンピュータによるシミュレーションから、太陽表面で小黒点を形成する2つの垂直な磁束が、黒点形成に伴って太陽内部で互いに接近していく際、弱い水平磁場を持ったプラズマのかたまりを挟み込んでいる様子が明らかになった。このプラズマのかたまりこそがライトブリッジだ。つまり、黒点形成の際に見られるライトブリッジは、強い垂直磁場を持った小黒点(太陽内部から浮上してきた磁束)が合体するときに、弱い水平磁場を持ったプラズマを挟み込むことによって作られる構造だったのである。
小黒点が合体する際にライトブリッジが作られ、ライトブリッジの水平磁場と小黒点の強い垂直磁場とが繰り返し磁気リコネクションを起こすことにより、ライトブリッジの上空で爆発現象やジェット噴出が発生する(提供:国立天文台)
本研究は、太陽内部における磁場の発達、太陽表面における黒点の形成、太陽上空における活動現象(爆発やジェットなど)の密接な関わりを、観測とシミュレーションの両面から初めて3次元的に解明した画期的な成果だ。近年では太陽以外の恒星の黒点についても研究が盛んになっており、太陽黒点を理解する必要性はますます高まっている。観測機器やコンピュータシミュレーションの向上とともに、今後さらに黒点形成や活動現象のメカニズム解明が進むことが期待される。
〈参照〉
- 国立天文台 ひので科学プロジェクト: 黒点形成時に発生する爆発・ジェット現象の仕組みを解明
- The Astrophysical Journal: Light Bridge in a Developing Active Region. II. Numerical Simulation of Flux Emergence and Light Bridge Formation 論文
〈関連リンク〉
- 国立天文台「ひので」: http://hinode.nao.ac.jp/
- 太陽観測衛星「アイリス」: http://iris.lmsal.com/
- 太陽観測衛星「SDO」: http://sdo.gsfc.nasa.gov/
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