銀河の外れに生まれた2つの星団
【2015年3月11日 Royal Astronomical Society】
NASAの天文衛星「WISE」を用いた赤外線観測で、天の川銀河の円盤部(直径約10万光年、厚さ数千光年)から1万6000光年離れた場所に巨大分子雲が見つかり、さらにその中に2つの新しい星団があることがわかった。星の材料であるガスと塵が豊富にある円盤部からこれほど離れた場所で新たに誕生している星々が見つかるのは初めてのことで、どのようにして星の材料が遠くまで運ばれ巨大分子雲を形成したのかという疑問が生じている。
発見者のDenilso Camargoさん(リオグランデ・ド・スル連邦大学)によれば、超新星爆発が繰り返されたことで星の材料が銀河の外に吹き飛ばされた、あるいは近隣の矮小銀河であるマゼラン雲との重力的な相互作用で星の材料が天の川銀河近くに入りこんだという2通りの説があるが、今後シミュレーションなどにより詳しく調査したいとしている。
くじら座の方向に発見された星団「Camargo 438」(左)と「Camargo 439」。点の1つ1つが星団の星をとらえている(提供:D. Camargo/NASA/WISE)
〈参照〉
- Royal Astronomical Society: Astronomers find newborn stars at the edge of the Galaxy
- Monthly Notices of the Royal Astronomical Society: Discovery of two embedded clusters with WISE in the high Galactic latitude cloud HRK 81.4−77.8 論文
〈関連リンク〉
- NASA: http://www.nasa.gov/
- アストロアーツ: 星空ガイド 天体の基礎知識 星雲・星団・銀河
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