西村さん・中村さん・金子さん、いて座に新星を発見

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静岡県の西村栄男さん、三重県の中村祐二さん、静岡県の金子静夫さんが3月25日、いて座に11等前後の新星を発見した。

【2021年3月29日 VSOLJニュース

著者:前原裕之さん(国立天文台)

静岡県掛川市の西村栄男さんと、三重県亀山市の中村祐二さんによって、いて座の中に新たな新星が発見されました。

西村さんは3月25.7609日(世界時、以下同。日本時では26日3時16分ごろ)に焦点距離200mmのレンズとデジタルカメラで撮影した画像から10.8等の新天体を発見しました。また、中村さんも25.8034日(日本時26日4時17分ごろ)に焦点距離135mmのレンズとCCDカメラを用いて撮影した画像から、この新天体を11.2等で発見しました。

この天体は、ASAS-SN(All-Sky Automated Survey for Supernovae)のグループによって、西村さんらによる発見のおよそ半日前の25.29日に11.9等の明るさの新天体(ASASSN-21eh)として発見されていた他、静岡県掛川市の金子静夫さんが25.736日(日本時26日2時40分ごろ)に撮影した画像にも11.2等で写っていたことがわかりました。発見の報告を受けて行われた詳しい観測によると、この天体の正確な位置は以下のとおりです。

赤経  18h49m05.06s
赤緯 -19°02′04.0″(2000年分点)

確認画像
確認画像(撮影:野口敏秀さん)

いて座の新星の位置
いて座の新星の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

天体の分光観測は発見翌日の3月26.838日に岡山県の大島修さんによって口径30cmの望遠鏡を用いて行われ、スペクトルにP Cygプロファイルを示す水素のバルマー系列の輝線が見られることがわかりました。この他、インドやイタリアのグループによってもこの天体の分光観測が行われ、これらの結果からこの天体が古典新星であることが確認されました。

西村さんの新星発見は2020年9月のさそり座新星以来です。また、中村さんの新星発見は今月18日のカシオペヤ座新星に続くもので、金子さんの新星発見は2019年10月のたて座新星以来となります。