すばる望遠鏡が「はやぶさ2」を撮影
【2020年11月26日 すばる望遠鏡】
探査機「はやぶさ2」は現在、12月6日の地球帰還を目指して飛行中だ。小惑星「リュウグウ」のサンプルを格納したカプセルは6日未明(日本時間)に、オーストラリアのウーメラ砂漠に着地する見込みとなっている。
米・ハワイのすばる望遠鏡は科学観測の合間を利用して、11月20日未明(ハワイ時間)に「はやぶさ2」を撮影し、帰還2週間前のタイミングで探査機をいち早く出迎えた。撮影時の、地球から「はやぶさ2」までの距離はおよそ580万kmで、カシオペヤ座の方向に24.6等級の光の点として観測された。
すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ「ハイパー・シュプリーム・カム」がとらえた「はやぶさ2」(画像中央の点光源)。探査機の動きに合わせて追尾しながら観測したため、探査機は点像になり、背景の星の像は流れて写っている。2020年11月20日00:12~00:29(ハワイ時間)に撮影した3分間露出の画像を5枚合成。画角は2.0×1.0分角(提供:国立天文台、以下同)
「地球に帰還する『はやぶさ2』の姿をすばる望遠鏡がとらえることができて光栄に思います。『はやぶさ2』は、小惑星から採取したサンプルを格納したカプセルを地球に届けた後、さらなる探査の旅に出かけると聞いています。すばる望遠鏡は『はやぶさ2』の新たな挑戦にも貢献していきたいと考えています」(すばる望遠鏡 国立天文台ハワイ観測所所長 吉田道利さん)。
5枚の画像から作成されたアニメーション。画面中央付近を移動する光点(黄色の円内)が「はやぶさ2」。画角は5.0×2.5分角
すばる望遠鏡は2010年に「はやぶさ」初号機の光跡を大気圏突入の約8時間前にとらえることに成功している(参照:「『はやぶさ』のカプセル回収を完了!KAGAYA氏撮影の再突入時の画像も」。また2015年には、リュウグウも撮影した(参照:「『はやぶさ2』のターゲットをすばる望遠鏡が撮影」)。
〈参照〉
- すばる望遠鏡:すばる望遠鏡、一足先に「はやぶさ2」を出迎える
〈関連リンク〉
- はやぶさ2 おかえり!2020 共同観測キャンペーン:
- 「はやぶさ2」:
- アストロアーツ:
- 天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」 「はやぶさ2」の航路や現在位置を表示可能
- 星ナビ.com:2020年12月号 「はやぶさ2」ミッションレポート#14「地球へ、そしてその先へ」
- 天体写真ギャラリー:
関連記事
- 2023/02/27 リュウグウ試料から2万種の有機分子、固体有機物を検出
- 2023/01/06 「はやぶさ2」拡張ミッション応援!目標の小惑星による恒星食を観測
- 2022/12/23 リュウグウ粒子は微小隕石の衝突で融けていた
- 2022/12/12 【星ナビ取材】ガンマ線でリュウグウの謎に挑む研究の最前線
- 2022/11/15 すばる望遠鏡の次世代分光装置、星の光をとらえる試験に成功
- 2022/10/25 リュウグウ粒子からガス成分を検出
- 2022/09/27 リュウグウ粒子から炭酸・塩が溶け込んだ水を発見
- 2022/09/16 すばる望遠鏡「星空ライブカメラ」本格運用スタート
- 2022/08/22 リュウグウ粒子が示唆する有機物の「ゆりかご」
- 2022/07/05 「はやぶさ2」は拡張ミッション「はやぶさ2♯」へ
- 2022/06/27 天体数7.7億、すばる望遠鏡HSCアーカイブ追加公開
- 2022/06/16 リュウグウ試料からアミノ酸などを検出
- 2022/04/05 すばる望遠鏡、暗い低温度星の化学組成を明らかに
- 2022/03/25 「はやぶさ2」帰還時の軌道を音で決定
- 2022/02/28 「はやぶさ2」が2026年フライバイの小惑星を地上から観測
- 2022/02/21 「はやぶさ2」が持ち帰ったリュウグウの花吹雪
- 2022/01/17 リュウグウ試料のカタログを公開
- 2021/12/28 リュウグウ試料から水・有機物・窒素化合物のスペクトルを検出
- 2021/12/07 「はやぶさ2」帰還から1年、試料の分析結果は来春公表予定
- 2021/11/30 すばる望遠鏡とAIで奇妙な銀河を複数検出