「はやぶさ2」拡張ミッション応援!目標の小惑星による恒星食を観測

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小惑星探査「はやぶさ2」の拡張ミッションが始まっています。その目標天体の一つ、小惑星2001 CC21による恒星食の観測キャンペーンを実施します。

【2023年1月6日 星ナビ編集部

解説:早水勉(日本公開天文台協会HAL星研

小惑星(98943)2001 CC21は、JAXAによる小惑星探査「はやぶさ2」の拡張ミッション対象天体で、2026年7月に探査機がフライバイして観測予定です(参照:「「はやぶさ2」は拡張ミッション「はやぶさ2♯」へ」)。フライバイ探査までにできるだけ多くの情報を得るため、JAXAではこの小惑星による恒星食の観測を求めています。観測に参加してくださる方を募集します。

想像図
2001 CC21フライバイ探査の想像図(提供:池下章裕)

2001 CC21は2023年初に地球に接近し、地球から観測の好機を迎えます。この1~3月に日本で観測可能な好条件の恒星食がいくつも予報されています。とくに以下の表中の赤字で示した2現象は極めて好条件で、観測チームは組織的な布陣による観測キャンペーンを計画しています。

恒星食予報
小惑星2001 CC21による恒星食予報。時刻は日本時間。画像クリックで表示拡大

恒星食帯
1~3月に起こる小惑星2001 CC21による恒星食帯。恒星食帯の幅(青線)はそれぞれ、わずか600~700mしかない。緑線は誤差(1σ)で、この範囲内で68.2%の確率で星食が起こる。画像クリックで表示拡大

ここで紹介した恒星食は、対象星が比較的明るいものが多く、アマチュアの天文家にとってもじゅうぶんに観測可能なものです。しかし、小惑星が小型で軌道の誤差がまだ大きいことが観測の成功確率を低くしています。このため、軌道の誤差範囲をカバーする多数の観測者が必要です。誤差(1σ)(図中の緑線)は±20kmほどもあるため、多数の観測者を必要とします。誤差±2σ以内は食による減光の可能性がじゅうぶんあります。

星食が起こると、一瞬恒星が消失したように減光します。ただし、どのイベントも恒星食帯の幅はわずか600~700mしかないうえに、減光は最長でも0.1秒しか見込まれていません。したがって、観測には惑星撮像用の高感度CMOSモジュールを用いた動画で、30ミリ秒よりも速いシャッタースピードが必要です。動画は観測後の解析のためにAVI形式で保存することが推奨されます。データには正確な時刻の取得も必要です。GPSによる秒信号が得られることが最良です。GPSが得られない場合でも、少なくともインターネットによる時刻補正(NTP)は必要です。

観測にご興味のある方は、JAXA 2001cc21チーム2001cc21_occult at googlegroups.comにお問い合わせください。観測の報告先も同じです。予報の詳細は、筆者のサイト「HAL星研」の「(98943)2001 CC21による恒星食」をご覧ください。「星ナビ」2023年2月号でも解説記事を掲載しています。

また、「はやぶさ2」拡張ミッション、日本公開天文台協会(JAPOS)、日本惑星協会(TPSJ)が協力して、2001 CC21の撮影を呼びかけるキャンペーンも行っています。詳細は日本公開天文台協会「はやぶさ2」拡張ミッションのウェブサイトをご覧ください。

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